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生成AIの進化が広告業界にもたらす2つの課題 自主的に広告が作れる時代に代理店を通す意味

東洋経済オンライン / 2024年3月8日 18時0分

同社はネット広告の効果を予測・最大化する「極予測AI」というサービスを立ち上げ、ユーザーの特性にあわせて配信する広告コンテンツの切り替えが可能な「ターゲティング広告」に広く活用してきた。つまり、AIを活用してユーザーの年齢や性別といった属性情報、興味・関心、広告に使われる画像などを考慮したキャッチコピーの自動生成と効果予測をすでに両立していたということだ。

同社の発表によれば、この極予測AIで効果予測を行って配信したネット広告は、通常よりも広告の効果が1.5倍も向上する事例が出ているとのことである。

同社はそのような効果を得るために、大規模言語モデルを独自に開発している。今までは作りたい広告に関連するデータをその都度収集し、AIに学習させていたが、現在は大規模言語モデルであらゆるデータを学習させておき、僅かな学習でも高品質な結果が出力できるようになっているという。

その極予測AIに満を持して実装されたのが「大規模言語モデルを活用した広告(キャッチ)コピー自動生成」機能である。これは、自社開発した大規模言語モデルとChatGPTのAPIを、既存の広告自動生成システムと組み合わせることにより、ターゲットに合わせたキャッチコピーを生成することを可能にしたものだ。つまり、広告を「効果を予測しながら」制作し、その場で質を高めていけるようになったということである。

バーチャルな営業活動に使われていく

では将来、生成AIは広告会社の業務をどのように変貌させていくのであろうか。

まず考えられるのは、リアルな「人」が担当している営業関連業務が、バーチャルなAIに取って代わられるということである。

現在、営業部門のスタッフが多くの労力を割いているのが、クライアントへの広告の提案、クライアントとの打ち合わせのアポ取り、日程調整などである。これらすべてをAIが完遂してくれるという未来は、すぐそこまで来ている。

それ以上に、コロナ禍でZoomなどのWeb会議が当たり前になり、PCやタブレット端末の画面に向かって会議することへの抵抗感が解消されたため、会議の相手が「人」である必要もなくなってきている。つまり、静止画やアバターに向かって会議することが増えているため、バーチャルなAIと対話することにも抵抗が薄れてきているのだ。

生成AIで提案内容を説明するための文章を作成して、ボーカロイドソフトで読み上げることは今でも簡単にできている。今後は生成AIに簡単なプロンプト(命令)を与えるだけで、クライアントとその提案内容に即したバーチャルな人物やキャラクターなどが生成され、場に応じてベースとなる声色やトーンなどを自動で選択したり、説明に適切な抑揚を付けたりするようになるだろう。キャッチコピーや映像といった「人の感性に訴えかける」商材である広告は、元々バーチャルな営業活動と相性がよいのだ。

生成AI時代における広告会社の商機は2つ

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