日経平均は年前半4万2000円まで上昇の可能性 東証改革の成果は短期的に株価に織り込まれた
東洋経済オンライン / 2024年3月8日 9時30分
今年に入ってからの日経平均の株価急上昇は、アメリカ発の「生成AI銘柄」(エヌビディアやアームなどが主体)の急騰の恩恵を受ける、上記のような日本の半導体関連(同装置・同素材など)銘柄が主導している。
一方、TOPIXは東証プライム市場(旧東証1部)全体の加重平均の指数であり、日経平均対比では半導体関連の比率は低めで、輸送用機器(自働車など)や金融業(銀行・証券など)、内需株の比率が高い。日本の上場会社の経済状態を計る体温計のような存在であるTOPIXが、史上最高値更新までには至らず、青天井のような強気相場入りをしていないのは、そうした事情がある。
だが、日経平均もTOPIXも「配当込みの実質指数」で見ると、日経平均は2020年11月25日、TOPIXも2021年1月8日に更新している。つまり、1989年の平成バブル時の最高値の状態で日経平均やTOPIXの指数を買った人も、決算時に受け取った配当を再投資していれば、すでに3年前の2021年1月にトータルリターン(総利益)でプラスとなり、「誰も損している人がいない状態になった」ということだ。
今後の注目ポイントは「日経平均とNYダウの連動性」
では、ようやく皆が損をしていない状態がやってきたので、需給が改善して「今後の相場は青天井なのか」とも思いたくもなるが、そう簡単ではない。
今後の日本株はニューヨークダウ30種平均株価と連動するとみている。また、日米の株価指数がどこまで上昇するかは、1年先の企業業績予想のモメンタム(増益率などの改善の勢い)や、PERなどの水準次第だ。
平成バブルがピークだった1989年からの日経平均とNYダウを比較すると、非常に興味深い事実が浮かび上がる。まず1989年から、不良債権問題にようやく決着をつけた2003年まで日経平均は下落、NYダウは上昇とまったく逆の値動きをたどった。この間、日経平均の「N」をNYダウの「D」で割った「ND倍率」は、約14倍からなんと約1倍まで低下した。
だが、2003年から直近までは日経平均とNYダウはおおむね同じ動きをしており、ND倍率も1倍程度で推移している(3月6日時点では1倍超)。現在は日経平均が急騰してNYダウに追いついた局面で、2012年や2019~20年の状況に似ている。
この2回とも株価は調整局面に入っており、今回も短期的には過去2回のように影響を受け、調整する可能性もあるとみている。決して弱気というわけではないのだが、やはり日本株は世界の景気敏感株であり、世界の中心であるアメリカ景気の影響を受けるのは仕方がない。
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