日本の季節行事は「食品廃棄の温床」という現実 外国人が驚く「商品の種類」とパッケージの美さ
東洋経済オンライン / 2024年3月9日 11時30分
日本の季節のイベントは食品廃棄の温床
2月の恵方巻き、バレンタインのチョコレート合戦やクリスマスケーキなどなど、経済効果、巨大な利益を狙ったマーケティング戦略に踊らされて、市場を賑わす商品が日本には溢れかえっている。
日本中が大騒ぎをして買い、食べまくり、挙句毎年廃棄が問題になる恵方巻きは、そもそも日本の節分の伝統食ではなかった。私は27年前からイタリアで暮らしているが、東京で生まれ育った私が日本で暮らしていた頃に、恵方巻きを食べたり見聞きした記憶はない。調べてみると発祥には諸説あるのだが、大阪あたりの花街から生まれ、それを広島県のセブン-イレブンが「恵方巻き」という名前で1989年に販売を開始、爆発的に人気を博し全国に広まっていったのだという説が有力ということだ。
魚や卵などの具材も入っているから、売れ残れば廃棄の運命が待っている。それでも一本でも多く売りたい企業側は、日付が変わるギリギリに買いに来る客にも対応できるよう多めに生産し、商戦を盛り上げる。その影響で恵方巻きの廃棄が社会問題になったので、最近は予約販売にシフトした意識の高い企業も出てきた一方、コンビニの社員が売れ残りを自腹で買わされ、売れ残りがなかったかのようにカモフラージュをする、などという惨事も起きているようだ。
バレンタインデーで全国民もれなくチョコレート!のような風潮も日本だけの特殊な現象だ。1930年代に「モロゾフ」がバレンタインデー向けの広告を出したのが始まりだとか、1958年にチョコレート会社「メリーチョコレートカムパニー」がバレンタイン用のチョコレートを作り始めたのだという説はもはや有名で、キリスト教世界の本物のバレンタインデーと違っていようがなんだろうが、世界中の美味しいチョコレートが日本に居ながらにして手に入るのだから、それでいいのだ、といったところだろう。ちなみにイタリアでは、フランスやベルギーなどお隣の国の高級チョコレートが簡単に手に入る、なんてことはあまりない。自分の国で作られたチョコレートが一番美味しいと誇りに思い、食べている人がほとんどだ。
イタリアのバレンタインデーは、「恋する人たちの日」として若いカップルから老夫婦までが花束やちょっとした物をプレゼントしあい、お祝いする。特にチョコレートと限らず、好きなものを好きなように贈るし、女性から男性へ、という決まりもない(むしろ男性から女性へ、というケースの方が主流に見える)。最近では「どうも日本ではバレンタインデーにチョコレートが爆売れするらしい」と聞きつけた商売人たちが、バレンタインにかこつけたハートのチョコレートなんかを売ったりしているが、かつての日本で繰り広げられた義理チョコだの本気チョコだの、そういう風習は生まれてこない。
フードロスの問題だけではない
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