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日本の季節行事は「食品廃棄の温床」という現実 外国人が驚く「商品の種類」とパッケージの美さ

東洋経済オンライン / 2024年3月9日 11時30分

大量廃棄といえば、クリスマスになくてはならないイチゴのショートケーキだ。生クリームやイチゴという、新鮮さが命の食材が使われているから日持ちがしない、だからフードロスの危険が大というだけではない。本来は春が旬のイチゴを真冬に栽培するために、重油を使って温室の温度を上げるからカーボンフットプリントがものすごく高い、というのは記事(3年ぶりに帰国した日本人が驚いた「ヤバい日本」)に書いた通りだ。

イタリアではクリスマスシーズン中ずっと、パネットーネやパンドーロという発酵生地のケーキを食べる。昔、小麦粉がとても貴重だった時代に、クリスマスのお祝いに食べる大切なご馳走として生まれたケーキだから、日持ちがするようにできている。「パネットーネなんて、あんなにまずいものをよくイタリア人は食べるね」なんていう声を時々耳にするが、それは輸出用の大量生産極安商品を「イタリア直輸入の高級菓子!」とかなんとか騙されて食べた不幸な人たちの意見で、これも日本が食をビジネスのネタに荒稼ぎしまくっていることの弊害かもしれない。天然酵母を使って丁寧に手作りされる本物のパネットーネは、イタリアで買ってもとても高価で、シンプルなのに毎日、毎年食べたくなる美味しさだ。賞味期限は3カ月ぐらいあるので、売れ残っても廃棄されることはない。

イタリアに住んでフードライターをしていて、よく困ることの1つに、日本の編集者の人から「今、イタリアでブームの食べ物を教えてください」などと聞かれることだ。

ちょっと前に爆発的ブームになって驚いたマリトッツォ、今も現在進行中らしいトリュフ、そして古い話で恐縮だがティラミスなどなど、どれも日本ではすごいブームを巻き起こしたらしいが、イタリアでは食べ物があんなふうにブームになったりはしないからだ。

あれだけ日本で大ヒットしたマリトッツォはローマのお菓子だから、そもそも他の州の人は知らないし(ローマから700キロ離れたトリノに住んでいる私も、日本でブームになってから初めて知った)、トリュフはお金持ちのグルメたちが季節になったらレストランへ出かけて行って贅沢に食べるものであって、トリュフ風味のラーメンだのポテチだの、ファミレスでもトリュフだのと、富豪から庶民まで右へ倣えと食べまくる日本の現象は不思議としか言えない。

ティラミスは今も昔も大好きで、ブームが去ったからもう食べないなんていうことはまったくなく、ずっと愛され続けている。だから爆発的に製造して、ある日、急に飽きられて廃棄されることもないし、流行に乗った店舗自体ができては消え、消えてはできる、なんていう反持続可能性な現象もあまり起きない。

食品の種類が多すぎる日本

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