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見のがし配信「TVer」の明るい話題が飛び交う事情 ネット上が連日"TVer推し"になったシビアな背景

東洋経済オンライン / 2024年3月9日 12時0分

たとえばコネクテッドTVで過去の名作を見ると、その時間はリアルタイム視聴してもらうことができず、視聴率を得ることができません。しかもそのキャンペーンを各局が行えばテレビ業界全体の総視聴率が大きく下がりかねないだけに、以前では考えられなかったキャンペーンなのです。

さらにTVerが発表した中に「1番組あたりの平均視聴人数が1.7人」というデータがあるように、「複数人で見られやすい」こともスポンサーに向けたアピールポイントの1つ。個人の好みが細分化し、ライフスタイルが多様化した現在は1人でコンテンツを見ることが多いだけに、複数人で見られやすいTVerは単純に広告効果が高く、スポンサーにとって魅力的な存在となりはじめています。

「複数人で見られる」TVerの強み

特に「家族で見てもらえるコンテンツ」は、最もスポンサー受けがよく民放各局が求めるもの。前述したように、もはやコネクテッドTVでのネットコンテンツ視聴は避けられず、家族向けの番組を放送してもリアルタイム視聴されるチャンスが減っているため、取りこぼさないようにTVerで見てもらうことが重要になっています。

一方、スポンサーから見ても、録画視聴ではCMを早送りされやすいだけに、それができないTVerの評価が上がるのは当然でしょう。また、他の動画配信サービスやYouTubeと比べたとき、TVerは「コンプライアンスチェックなどを経た放送に耐えうる安心・安全なコンテンツをそろえているため出稿しやすい」という前提があります。

その意味で今後に向けて見逃せないのが、オリジナルコンテンツの存在。昨年9月に民放5局の人気番組が制作協力したTVer初のオリジナルドラマ「潜入捜査官 松下洸平」が配信されました。バラエティはさらにオリジナルに力を入れていて、今後は増やしていくことが確実視されていますし、強力な誘客要因となる可能性を感じさせられます。

最後にもう1つ、TVer関連のポジティブな記事が増えている背景は、民放各局の名誉回復。2000年代後半あたりから視聴率の低下が頻繁に報じられるようになり、2010年代に入るとさらに下がったほか、ネットメディアの数が増えたこともあって、連日ネガティブな記事が飛び交う事態が続いていました。

民放各局にとっては、「録画機器やネットが発達・普及し、人々の行動パターンが変わる中、視聴率が下がるのは避けられないことなのに、依然として唯一の広告指標であり、反論できない」という苦しい状態。特にもともと録画されやすいうえに、良作ほどその傾向が強くなるドラマは「視聴率1桁に低迷」「歴代最低更新」などと書かれる機会が多く、耐え忍ぶ状態が続いていました。

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