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「道に外れた恋心」抱いた故に光源氏が受けた報い 「源氏物語」を角田光代の現代訳で読む・夕顔⑥

東洋経済オンライン / 2024年3月10日 16時0分

「では、その旨を奏上しよう。昨夜、音楽の遊びの時、帝はずいぶんあなたをさがしていらっしゃって、見つからないのでご機嫌も悪くていらっしゃった」と頭中将は言い、そのまま去ろうとして引き返してきた。「いったいどんな穢れに触れたんだい。あれこれと説明してくれるけれど、なんだか本当のことには思えないな」

それを聞いて光君はどきりとし、

「今話したくわしいことはいいから、ただ、思ってもみない穢れに触れてしまったと奏上してほしい。まったく申し訳ない」とできるだけさりげなく言った。心の中では言うに言えない悲しいできごとを思い出し、気分もすぐれず、だれとも顔を合わせない。頭中将の弟である蔵人弁(くろうどのべん)を呼び、真顔で、同様の旨を奏上するように頼んだ。左大臣家にも、このようなわけで参上できないという手紙を書いた。

次の話を読む:「もう一度声を聞かせて」、光君の憔悴と女の最期(3月17日14時配信予定)

*小見出しなどはWeb掲載のために加えたものです

角田 光代:小説家

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