企業がこぞって「スポーツ選手」の支援をする本音 広告過多時代に、新たなファンを生み出す
東洋経済オンライン / 2024年3月10日 19時0分
また、アンバサダーは商品や企業の成長について真剣に考えてくれます。そのための意見や提案も自主的にしてくれます。消費者の声を聴くマーケティングは市場調査やアンケート調査などがありますが、無作為に選んだ人よりもアンバサダーのほうが親身になって改善策を考えてくれるはずです。
彼らの声を聞くことで、アンバサダーとの関係がより強固になります。また、テレビCMやインフルエンサーを起用した広告に比べて、広告費を抑えることにもつながります。
SNSでの炎上リスクには十分な配慮が必要
しかし、アンバサダーマーケティングにも注意点があります。例えば、アンバサダーの影響力によって訴求範囲が決まってしまうことです。どれほど熱烈なファンであったとしても、その人の影響力が極めて限定的であれば、製品やサービスを広い範囲に普及させていくことは難しいでしょう。また、アンバサダーによる不用意なSNS利用によって、製品や企業に対するイメージが悪化してしまう可能性もあります。
アンバサダーと似た概念として「インフルエンサー」がありますが、アンバサダーとインフルエンサーの大きな違いは、商品やサービスに対する立場です。
アンバサダーは製品や企業の熱烈なファンである一方、インフルエンサーはそれらに対して強い思い入れがあるわけではありません。インフルエンサーによる情報発信はより多くの人にアプローチすることができ、「量」の効果が期待できる一方、アンバサダーは深く細かい情報発信を行うため、「質」の効果が期待できます。
新商品などを周知する方法としてCMは引き続き有効な手段ですが、日々大量の商品が発売される現在の市場では消費者が飽きるスピードが早くなっています。そういう市場だからこそ、収益を安定させ、伸ばしていくために熱心なファンのリピートが重要です。
リピートを増やすためにはもちろん製品やサービス自体の魅力を高めることが重要です。しかし、それ以外にもブランドイメージを向上させる方法はあると考えられます。
スポーツなどを通じて同じ目線を共有し、企業の成長に協力してくれる人を増やしていくことが事業変革のポイントになるのです。地元のスポーツチームなどの応援を通じて、自社をアピールする方法を模索してみるのはいかがでしょうか。
菅原 由一:税理士
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