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老舗酒造メーカーが「ストロング系」に込めた思い コスパのよさが「心の拠り所」となる人もいる

東洋経済オンライン / 2024年3月10日 7時20分

われわれは今、アルコール度数5%以下の商品に注力している。若年層にも飲んでもらえるよう、度数の低いものを中心に商品開発してきた。9%は昔からのヘビーユーザーが飲んでおり、新規開拓する意図はここ数年なかった。PB商品も、PBオーナーが様子をうかがっている状況だと思う。

唯一の楽しみがお酒という人もいる

──オエノンHDとして、手の届きやすい価格のストロング系を販売してきた背景には、どんな思いがありますか。

仕事で大変な苦労をしても給料が安く、唯一の楽しみがお酒という方々がいる。高いお酒にはなかなか手を出せない中で、度数が高く手頃感のあるチューハイを心の拠り所にされる人もいたのだと私自身は思う。ささやかな楽しみを奪うのはいかがなものか。

その一方で、厚労省のガイドラインがあるなら、それは企業として対応するスタンスをとらざるをえないということだ。

──ストロング系を1日の終わりに1本飲むだけで、救われる人もいると。

いっぱいいる。そういう世界を全否定してしまうことが、私は悲しいというか。そういった方々の味方でいたいという気持ちはすごく強い。

私の実家は酒屋だった。東京では角打ちと言うが、(出身の)北海道では「もっきり」というものがある。私の原体験として小学生の頃、近くに2つ大きなゴム工場があった。

そこの方々が、工場のお風呂に入ったあとに家に帰ればいいものを、うちに寄って一杯ひっかけてから帰る。皆さん、すごくおいしそうに飲む。焼酎をなみなみとついで、さらに梅シロップを上にかけて、1日の疲れをうちで癒やす。この一杯のお酒で心が救われるじゃないけれど。

そういうのを毎日のように見て、お酒っていろいろと言われる部分はあるにせよ、人を救っている面も多分にあるんじゃないの?という。これが私の原点。だから、そういう方々に喜んでいただくお酒を提供したいとの思いがある。中身もさることながら、価格もできる限りリーズナブルにご提供できればいいかなと思う。

休肝日を作れば9%も問題ない?

──ストロング系は9%だが、ウイスキーや焼酎はもっと度数が高い。

その通りだ。要するに缶チューハイは1本飲み切りと判断されている。キャップ付きなら何回かに分けて飲み、20グラム未満に抑えられることもあるが、プルキャップだとそうはいかない。だったら2人で飲むとかいろいろなやり方があるのに、1人で1本飲みきることだけが想定されている。

──度数8%以上の缶チューハイだと、ガイドラインの1日アルコール量20グラム以上に抵触するから問題があるということでしょうか?

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