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仏・西・伊、兄弟言語の「ことわざ」の相違が面白い グループの同じ3言語は同時に効率よく学べる

東洋経済オンライン / 2024年3月11日 15時0分

次に、3つの言語で意味が完全に一致していたり、ほぼ同じ意味を表現していることわざをご紹介しましょう。

●「歴史はくり返す」

3言語で各単語が完全に対応している文で、意味も日本語訳そのままです。ここでの再帰動詞の用法は、「~をくり返す」という他動詞を「~がくり返す」という自動詞に変えるというものですが、「くり返される」という受け身のニュアンスも入っていると言えます。このように、再帰動詞はくり返し行われる行為や普遍的に成り立つ事柄を表すのにも使われます。

英語でもHistory repeats itself.と再帰代名詞を使って他動詞の自動詞化が起こっていると言えますが、3言語のほうが再帰動詞を使った構文の使用頻度がはるかに高く、再帰動詞の便利さを教えてくれることわざです。さまざまな意味で奥が深い言葉で、あらためてかみしめたいものです。

「命」と「希望」から見るそれぞれの視点

●「命あっての物種」

3言語で同じ意味を表す文となっていて、「命がある限り、希望がある」ということを表しています。「命」と「希望」は数えられない抽象名詞として扱われているので、フランス語では部分冠詞がついています。イタリア語にも部分冠詞はありますが、ここでは無冠詞となっています。命も希望も、分量ではなく、その有無そのものを問題にしているからですね。部分冠詞がないスペイン語でも当然無冠詞です。

また、存在を表す表現が使われていますね。tant que, mientras, finchéは「~限り」という意味の接続詞(句)です。「命」の大切さを説く言葉で、じっくり噛みしめたい表現ですね。

●「大海の一滴」

このことわざも3言語で同じ意味を表す文となっていて、「それは海の中の一滴の水である」、つまり「大海の一滴」という表現です。フランス語だけ指示代名詞が主語となっていて、ほかの言語では主語は省略されています。イタリア語のd’acquaはdi acquaが縮まった形で、このような定型表現などでは、母音の前でdiのiが落ちることがよくあります。

広大な海とわずか一滴の水というスケールの違いを表現することによって、とるに足らない量であるということを表しています。日本語では「九牛(きゅうぎゅう)の一毛(いちもう)」とも言いますね。

「ことわざ」を通して文化の違いを知る

●「ない袖は振れぬ」

こちらも3言語で同じ意味を表す文となっていて、「何もないところでは王様は権利を失う」ということを表しています。フランス語とイタリア語では、存在を表すおなじみの構文が前半に使われていますね。

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