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ネット広告を荒らす「悪意」に社会は勝てるのか 広告市場は過去最高でもメディアが暗い理由

東洋経済オンライン / 2024年3月11日 12時0分

記事を読もうにも、画面が広告だらけでどれが記事かわからない。ページをめくるとまず全面に広告が表示され、×ボタンを探して閉じないと次のページに行けない。記事を読んでほしいのか? 広告を見せればそれでいいのか? まともな媒体社なら前者のはずだが、後者としか思えない。これではMFAと大して変わらないではないか。そう言いたくなるメディアが増えている。前は普通に読んでいたメディアなのに、広告洪水で萎えてもう二度と開きたくなくなっている。

最新の日本の広告費を見て、その背景がわかった。MFAや詐欺まがいの広告に押されて、真っ当なはずのメディアも一線を超えようとしている。メディアの矜持をかなぐり捨ててでもMFAまがいに広告を大量に表示しないと売り上げが追いつかないのではないか。広告洪水は、そんなメディアの悲鳴と受け止めた。

このままでは、メディアの崩壊が待っているだけではないか。この「悪意の汚染」を止めることはできないのだろうか。

3月5日に開かれた総務省の有識者会議「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会・第11回」で、解決のヒントが示された。クオリティメディアコンソーシアムの長澤秀行氏と、デジタル広告品質認証機構(JIQDAQ)の小出誠氏がそれぞれの活動をプレゼンしたのだ。

ネット広告はメディアが無限に増え、広告がどこに表示されるか把握できない点に問題が生じやすい。これは「運用型広告」と呼ばれる、ターゲットに広告が表示されるように広告を「運用」する手法で、だからどこに出るかを問えない。

それとは別にPMP(Private Market Place)と呼ばれる、広告が表示される媒体をあらかじめ限定しておき、その中でターゲティング広告を展開する手法もある。これなら、怪しいページに広告が表示されることはない。

ネット広告を健全な場にしていこうとする取り組み

クオリティメディアコンソーシアムはそのひとつで、旧来の新聞社や出版社、テレビ局、ラジオ局が参加し、それらが運営するデジタルメディアのみでPMPを構成している。デジタル広告に長く携わってきた長澤氏が、荒れる市場を改善しようと設立に加わった。プレゼンでは、ネット広告の課題の数々を取り上げ、解決策のひとつとしてのPMPの価値を力説した。

JIQDAQはネット広告に関わる複数の業界団体が設立した広告認証を出す組織だ。ネット広告を扱うメディアと広告会社に対し、広告を安心安全に扱うためのさまざまな条件を出し、それをクリアした事業者に「認定マーク」を授与する。JIQDAQには広告主も参画しており、認証を得たメディアや広告会社とだけ取引するようにする。これによってネット広告を健全な場にしていこうとする仕組みだ。

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