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「マルハラ」を認めると組織が破綻する3つの理由 若い世代に合わせるべきタイミングの見極め方

東洋経済オンライン / 2024年3月12日 6時55分

だからこそ、チームには心理的安全性が必要なのだ。「健全な衝突」ができるぐらいに意見を出せる環境が保証されていなければならない。サイレントマジョリティが「サイレント」のままにならないように、である。

サイレントマジョリティは、どちらかというと「受動的」だ。積極性が足りないから、不満を感じても我慢してしまう。

一方でノイジーマイノリティは「能動的」だ。積極的に主張する。強くアピールしないとマイノリティの意見に耳を傾けてもらえないと考えているからか。

ただ、その姿勢がエスカレートして「口うるさい」「やかましい」と思われてしまうことも多い。

少数派の意見も、もちろん無視はできない。しかしマネジャーが心理的安全性の概念を誤解し、ノイジーマイノリティの意見を重視しすぎると、組織内のバランスが崩れることがある。

学校の給食でたとえてみよう。

生徒の中に海老アレルギーの人がいた。その生徒が、

「私は海老を食べられないので、給食で海老が出たら食べなくてもいいですか?」

と言ってきたら、無視してはいけない。

「そんなことを言っていたら、みんなも真似する。君だけ例外は許さない。何でも残さずに食べろ」

などと先生が言ったらハラスメントだ(ハラスメントで済まないかもしれない)。本人だけ別のメニューを提供するか、お弁当持参を許可する等の個別対応が必要だろう。

しかしその生徒(もしくは親)が、

「海老アレルギーの生徒がいるのに、給食に海老が入ったメニューがあるのはおかしい。すぐに給食のメニューから外すように」

と訴えたら、ノイジーマイノリティである。「マルハラ」も同じではないか。

「個別対応」で落としどころを見つける

現実的な視点で考えてほしい。

すでにビジネスの世界では、急速にSNSやチャットが普及している。若者のほうがその文化に慣れ親しんでいるからといって、圧倒的大多数の「若者ではないビジネスパーソン」が、

「語尾に句点をつけられても威圧感を覚えない」

と感じるなら、その主張は受け入れられない。

あまりに声高に訴えると、

「もういい! 当社ではLINEは禁止だ。ビジネスチャットもやめろ。Zoomも使うな。コミュニケーションは対面だけにする」

などと、言われかねない。

「テキストでやり取りするから『マルハラ』とか言われるんだ。だったらテキストでコミュニケーションしなければいい」

と経営陣に言明されたら、若者にとっても不利益だ。海老を出すな、貝はやめろ、と生徒や保護者が言い続けた結果、

「当校では給食をやめます」

と学校側に決断させることと同じである。

「リアル」と「オンライン」を正しく使い分ける

だから、全体対応ではなく個別対応にならざるをえない。句点で威圧を感じた人や周りが、

「威圧感を覚えるのでやめてもらえませんか」

と相手に教えてあげればいいのだ。それをせずに「ハラスメント認定」とされると、上司は部下とコミュニケーションできなくなる。

新刊『若者に辞められると困るので、強く言えません:マネジャーの心の負担を減らす11のルール』では、どのようにバランスをとるのか11のテーマに沿って解説した。「タイパ思考」の若者に合わせて、どのようにテキストコミュニケーションをとるべきかを詳しく紹介している。「リアル」と「オンライン」を正しく使い分ければ、より効率的にコミュニケーションは活性化することだろう。

横山 信弘:経営コラムニスト

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