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「重労働ありがとう」挨拶が示す"休めない国"日本 「休み方」研究20年の医学博士が鳴らす警鐘

東洋経済オンライン / 2024年3月12日 10時30分

ドイツの人たちは、休みの前になると、

「私は週末、ここに行ってこういうふうに過ごすんだ」

とうれしそうに語るし、休み明けには本当に元気でリフレッシュしていて、

「こんなふうに楽しく遊んだよ」

という話で盛り上がります。

もちろん、誰かが長期休暇をとると仕事に穴があきます。ただ、取引先も「担当者が休みだったら仕方がない、じゃあ待つか」とあきらめてくれます。

つまり「休んだときはお互いさまだから」と社会が容認しているのです。

もちろん医療機関など一分一秒を争うような緊急の問題は別ですが、ちょっとした問い合わせ程度なら、回答が数週間後になってもそれほど大きな問題ではないことが多いのではないでしょうか。

「勤務間インターバル」が広がりつつある

日本では誰かが休むとすぐ「誰かほかの人が代わりをしないと困る」という話になります。これでは気軽に休みをとることができません。

会社によっては、有休をとる人は朝礼で前もって、

「○日から×日まで有休をいただきます。ご迷惑をかけて申し訳ありません」

と頭を下げるルールまであるそうです。

そんななか、日本でもようやく、働き方を見直す動きが出てきています。

1993年にEU(欧州連合)で発令された「労働時間指令」をお手本にしたもので、「勤務間インターバル」「勤務時間インターバル」などと呼ばれます。

EU指令は「24時間のうち11時間は休息時間をとらなければいけない」というもので、簡単にいえば、何時間もぶっ通しで働くことを禁じ、一定時間の休憩をはさむことを義務づけています。

たとえばある日の夜12時まで残業したとしましょう。勤務間インターバルを適用すると、次の勤務につくまでに11時間の休息時間をとらなければいけませんから、翌日の仕事のスタートは午前11時以降になります。

休息の11時間には、当然、睡眠や食事の時間、家族で過ごす時間、プライベートの時間も含まれます。

この勤務時間インターバルは、日本ではまだ義務化にまでいたっておらず、努力義務にとどまっています。とはいえ、最近少しずつですがこの言葉が広がっており、推奨する企業や公官庁も出てきています。このような形でハードワークが改まることを期待しています。

コロナ禍をきっかけに在宅勤務が一般化したこともあり、会社で長時間働いているだけで評価されることも減ってきたように思います。

リモートワークでは、社員が「今日は△時間勤務しました」と申告しても、それが本当かどうか確認さえできませんからね。仕事をした時間の長さではなく、仕事の質や量を重視する時代に、一歩ずつですが進み始めています。

日本の職場も変わり始めた

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