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イタリア人精神科医が語る「日本人の生きづらさ」 「察する」ことで自身の感情表現を蝕んでいる

東洋経済オンライン / 2024年3月13日 11時30分

(写真:プラナ/PIXTA)

ある国(文化)の中で生きていると、「あたりまえ」のことが実は「他から(世界的に)見るとかなり変わっている」ということが、少なくありません。日本は古くからその筆頭格ともいわれる国であり、その文化やそれに基づく国民性について、かなりの研究がされてきました。

わかりやすい例でいえば、「本音と建前」「察する(空気を読む/暗黙の了解)」「周りと合わせる」「極端に人の目を気にする」などが挙げられます。

「これらの“日本人のあたりまえ”が優れた社会スキルとして機能している反面、しがらみとなり、日本人の心の不調や生きづらさの原因となってしまっていることが多いのです」と話すのは、イタリア人精神科医のパントー・フランチェスコ氏。同氏の著書『しあわせの処方箋(Tips)~イタリア人精神科医 パントー先生が考える~』より一部抜粋して、日本人の心の不調や生きづらさの原因とその対処法を解説します。

〝隠された〟相手の感情まで読み解く日本人

過去30年にわたるさまざまな研究により、顔の表情、自発的な表情、複数の感情の有無や強弱から感情カテゴリーを判断する際、文化間でそれらが一致しているという十分な証拠が示されています。

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つまりどの文化の中でも感情の幅、認識されている感情の類は、ほとんど変わりません。しかし、感情の解釈は文化により異なり、感情強度の判断においても(たとえば悲しみといっても、軽い寂しさから絶望まで幅が存在する)、民族間で異なります。

アメリカ人はアジア人(特に日本人)よりも表情を強く評価しています。
しかし、この効果は外的ディスプレイ(示している感情)の評価に限られます。逆に、内的経験(相手の感情を察する)と推定されるものを評価する場合、日本人はアメリカ人よりも高い評価を与えます。

アメリカ人は、内的経験よりも外的ディスプレイを高く評価し(感情を認識する)、日本人は、はっきり表示されていない感情でも認識するわけです。

つまり、アメリカ人は強度に関係なく、すべての表情に対して、内的経験に対する外的ディスプレイの評価を誇張する可能性があります。たとえば悲しい顔を見れば、その人はものすごく悲しんでいるだろうと思うわけです。

一方、日本人は外的表示と内的経験の強弱を区別できます。その結果、外的表示に対する内的経験の推定評価が高くなるのかもしれません。

いわゆる「察する」というもので、実際には、どれくらい悲しんでいるのか、程度をもっと正確にとらえることができるのです。

思いやりこそ、自身の感情表現を蝕んでいる

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