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無意識に行動を操られる「ダークパターン」の危険 「妨害」「こっそり」など知るべき7つの悪質手口

東洋経済オンライン / 2024年3月13日 8時0分

例えばメールアドレスの獲得をKPIにした場合、現場は何としてでもメールアドレスを集めて成果を出そうとします。その結果ダークパターンを使用してしまったとしても、やめるとKPIを達成できないとなれば、そのまま使い続けてしまうことでしょう。

最近ようやく、ダークパターンが企業のレピュテーションリスクとして意識され始めていますが、改善にはKPIの見直しが必要です。

UIと事業ミッションは無関係だと思われがちですが、事業責任者は事業ミッションがダークパターンを生み出す可能性があることを知っておくべきです。責任者から「ダークパターン対策はできているのか」と投げかけられれば、現場も「実はKPIが問題で」と相談しやすいでしょう。

加えて、業務プロセスで防ぐ仕組みづくりも行えるとよいでしょう。例えば、クラウド会計サービスを提供する企業、freeeにはデザインチームがダークパターンと判断したら現場に差し戻して改善させるフローがあります。

もともとは非健常者向けのインクルーシブデザインを徹底する仕組みだったようですが、こうした倫理的な問題にも機能するとして注目されました。

Netflixは自らユーザーに「退会を提案」する

——個人消費者として、悪質な契約や情報提供に応じないために気をつけるべきことは何でしょうか。

まずは、「ダークパターン」という人の感情につけ込むUIの存在を認識することです。例えば、「まとめて買わないと損」と煽られて年に1度しか使わないものをまとめ買いしても、結局は無駄になってしまいますよね。

ダークパターンには、自分の決断に疑問を抱かせて購買を煽るものも多いです。ある意味、感情を“ハッキング”するものなので、判断する前に一呼吸置いて考えることが大事です。

反対に、ユーザーに親切な事例として有名なのがNetflixです。Netflixは、一定期間アクセスがないユーザーにメールで退会を提案し、反応がなければサブスクリプションを停止させています。実際にはあまり会員数も減らなかったようで、「ブランディングのための施策か」と揶揄する人もいました。

しかし、たとえ偽善であっても、こうした姿勢を見せることは大切でしょう。好印象を抱いて退会を思いとどまった人がいれば儲けものですし、こうした企業が増えれば、相対的に配慮がない企業からは自然とユーザーが離れていきます。

そのためにも、少しでも多くの人がダークパターンを認識し、社会全体としての問題意識を高めることが必要なのです。

酒井 麻里子:ITジャーナリスト/ライター

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