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上司と部下が違う方向を向いてしまう根本理由 「部下を動かす」のに夢中な人が知るべきこと

東洋経済オンライン / 2024年3月14日 9時0分

上司=決める人、部下=実行する人というように役割を分けると、チームが方向を見失いがちになると著者は指摘します (写真:mits/PIXTA)

立場が上の人が発した言葉が会議室を支配してしまい、正解から程遠いものだったとしても、誰も異議を唱えられる状況に陥ったことはないだろうか。

そうして下された決断は、「声の大きい人々の英知」であって、上司と部下の分断を深刻化すると主張するのは、米海軍の原子力潜水艦元艦長のマルケ氏だ。マルケ氏の近刊『最後は言い方』から、分断を避け、チームの多様な意見を引き出すコツを紹介しよう。

上の人が口を開いて、下の人が同調する構造

私は管理職向けのリーダーシップ研修を開くと必ず、参加者にこう聞くことにしている。

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夫と妻のそれぞれに、自分が家事をどれくらい請け負っているかを申告してもらう実験があります。その実験で、夫と妻の申告値を足すと、決まって100パーセントを上回ります。では、過大申告の平均はどれくらいでしょうか。

制限時間は90秒とする。これで彼らには、時間を守らなくてはならないというプレッシャーがかかる。

この出題には隠された意図がある。各テーブルのリーダーが、プレッシャーのもとでどのように決断を下すかを観察することだ。

彼らはご多分に漏れず、産業革命期のやり方に従う。室内のどのテーブルでも、会話の流れは基本的に次のようになる。

1.問題が発表されたとたん、立場が上の参加者が最初に自分の推測を口にする。

2.するとほかのメンバーがそれに同調し、その数字に近い推測を口にする。

3.その時点で沈黙を保っているメンバーは、そのまま発言しない可能性が高い。

これはまさに産業革命時代のやり方だ。

議論してから投票するという、意思決定に至る構造が、決断を下す前に出る意見のバリエーション(ばらつき、多様性)を減らすものとなっている。

こうして下された決断は、「声の大きい人々の英知」と呼んで差し支えないだろう。

立場が上の人が発した最初の数字がそのテーブルを支配し、それが正解からどれほどかけ離れていても、最初の数字に限りなく近い数がそのテーブルの最終的な回答となる(ちなみに正解は130パーセントだ)。

違う数字を思い描いているメンバーは発言を控えるので、有意義な情報を得る機会や分析の機会が奪われる。

なぜそんなやり方になってしまうのか

これがグループで決断を下すときの最善のやり方でないことはおわかりだろう。だが、グループで決断を下すケースのほとんどが、これとまったく同じやり方をしている。

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