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和田秀樹「認知症予防に脳トレは無意味」語る根拠 脳の活性化に有効なのは「他人と会話すること」

東洋経済オンライン / 2024年3月14日 16時0分

認知症の進行度合いを見た時に、「独居のほうが遅い」こともわかっています。朝起きて布団をたたみ、朝食をつくり、散歩に出かけ、近所の人と顔を合わせれば世間話をする。そんな毎日のことが認知症の進行を遅らせるのだと考えられます。

家事をこなすことは適度な運動になり、同時にかなり頭を使います。とくに料理は「どんな献立にするか」「冷蔵庫のどの材料を使うか」「足りないものは別のもので代用するか」等々、調理を開始する前から考えることがたくさんあります。

そして、いざ調理を始めれば「お鍋を火にかけている間にネギを切る」「フライパンで玉子を焼く間にトースターで食パンを焼く」などと一度に別々の行動をする場面が多くあって、この「同時に2つ以上の行動をする」というのも脳の活性化には効果的です。調理で包丁を使う際の手先の細かな動きも、脳への刺激になります。

年をとるにつれて洗濯物の出し入れが大変になるので、洗濯機はドラム式のものを使うと腰などを痛めることが少なくなります。ルンバのようなロボット掃除機を使ってみるのもいいでしょう。

ロボット掃除機は床にものを散らかしているとうまく使えないため、自ずと片付けの習慣がつきます。部屋が乱雑な高齢者は認知症になりやすいとの説もあるので、掃除や片付けはしっかりやるようにしたいものです。

高齢者の脳は日々萎縮し、衰えていきます。しかし加齢による衰えはライフスタイルを改善することによって、進行を食い止めることができるのです。認知症と診断されてからも普通に暮らしていける人は決して少なくありません。

認知症であっても日常的な家事はこなせるし、テレビやパソコンなど使い慣れた機械であれば操作も問題ありません。読書や俳句づくりを習慣にしてきた人なら、これも変わらずに続けられます。

認知症予防に脳トレはほとんど効果がない

昔から「頭を使っている人はボケにくい」といわれていて、これは一面の真実と言えます。脳の萎縮が同程度に進んでいる認知症患者の比較でも、とくに何もしていない人はかなりボケているのに、日頃から頭を使う環境にいた人はそうでもなく、知能テストでも後者の点数が高くなるケースが多いようです。

ただし、頭を使うといっても、いわゆる「脳トレ」はほとんど効果がありません。たとえば数独ばかりをずっとやっていれば、認知症の初期ぐらいなら数独の点数は伸びます。

しかしそれは脳全体の機能が活発化しているわけではなく、単に数独ができるだけのこと。他のテストの成績がよくなることはありません。このことはいろいろな実験で明らかにされていて、脳トレといわれるものは数独でも百マス計算でも、認知症予防という観点からはほとんど無意味です。

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