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音楽が抜群に凄い人は「生まれつきではない」証拠 練習量がカギ、達人になるための近道はない

東洋経済オンライン / 2024年3月14日 17時0分

研究者は257人の被験者間で音楽の能力や業績に大きな違いがあることを説明するため、調査結果を2つの方法で検証した。

調査結果ははっきりしていた。最高レベルの演奏をする者に音楽での早熟の兆し──我々の誰もが存在すると考えている生まれつきの才能の証──はまったくなかった。それとは逆に、幼少期からみられた特別な才能の兆しという点においては、どのグループの調査結果も大変似通っていた。

トップグループである音楽学校の生徒においては人生の早い時期に曲を繰り返して演奏できたという点で、他の者に比べ高い能力を示していた。具体的にいうと、曲を繰り返すのに他のグループは、平均して24カ月かかっていたのを、平均18カ月でできるようになっていた。

しかし、それだけで特別な才能がある証拠だとはいえない。なぜなら被験者とのインタビューを通じ、次のことがわかったからだ。トップグループの被験者の両親は、他グループの両親に比べ、子どもに歌いかけることに熱心だった。しかし、他のいくつかの観点でみても、他にグループ間の重要な違いを示すことはできなかった。被験者はたいがいみな8歳で自分の楽器を学びはじめていた。

生徒たちは明らかに音楽の業績では大きな能力の違いを示しているのに、入念なインタビューを通しても特定の才能の証明を見いだすことはできなかった。彼らの能力のレベルの違いそれ自身が才能の証しなのだろうか。それ以外にいったい何があるのだろう。しかしこの研究は偶然にもその質問への一つの回答を得ることができた。生徒が音楽的にどれだけ熟達できるか予想できる唯一の要因を見つけた。それはどれほど多く練習するかだ。

業績の違いを分けるもの

研究者たちは全国で行われたこうした等級別試験の結果をとりわけよく研究した。もちろん他のあまり熟達していない生徒に比べ、音楽学校の入学を認められた生徒がそれぞれの等級試験にいち早くかつ簡単に合格したと思うだろう。こうした音楽学校を卒業する生徒は、通常全国のコンクールで優勝し、音楽の道を進むことになるからだ。それが音楽的に才能をもっているということなのだ。

しかし結果は逆だった。研究者たちはトップ集団の生徒たちが、それぞれの等級レベルの試験の合格に平均何時間かかったか計算した。その他のグループでも、それぞれの等級試験の合格にかかる時間を同様に計算した。その結果、両者の間に統計的に意味のある違いを見つけることはできなかった。

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