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都の学校カウンセラー「250人雇い止め」の衝撃 学校や保護者から評価高く、経験豊富なSCが…

東洋経済オンライン / 2024年3月14日 7時0分

会計年度任用職員制度は2020年度に始まったので、2023年度末でちょうど丸4年。都教委は「機会あるごとに(対象となるSCには)公募について周知してきた」と主張する。公募では新規の求職者も対象となるうえ、都の場合、先述したように経験者のそれまでの実績は考慮されない。

なぜ「会計年度任用職員」が生まれたのか

認識の乖離はなぜ生じたのか。ここで会計年度任用職員について説明しよう。

国や地方自治体で働く非正規公務員は、かつては非常勤職員や臨時職員、パート職員などさまざまな呼称で呼ばれ、採用方法や待遇もばらばらだった。このため法改正により、2020年度以降は原則すべての非正規公務員が「会計年度任用職員」に移行、統一された。

これによりボーナスや通勤手当の支給などが進んだ一方で、任用期間は1年という仕組みがあらためて徹底された。ただ実際には、多くの自治体が回数の上限を設けたうえでほぼ自動的に任用更新を行っている。これを「公募によらない再任用」という。都の場合は上限4回。自治体の中には上限を設けていないところもある。

一方で今回雇い止めになったSCは会計年度任用職員に移行される前から、特別職非常勤職員として10年、20年と再任用を繰り返してきたベテランも少なくない。このため多くが「公募になることは知っていた。でも、これまでの実績がなかったことにされるという認識はなかった」と話す。

総務省の通知は再任用について「前の任期における勤務実績を考慮して選考を行うことは可能」としており、SCらが自身の実績も選考基準に含まれると考えたとしても、やむを得ない面がある。これに対する都教委の説明は果たして十分だったといえるのか。

SCたちが「勤務実績が評価されない選考こそ不公平だ」と訴える一方で、都教委の浜佳葉子教育長は2月下旬の都議会で「選考は公募により公平、公正に実施した」という旨の答弁を繰り返した。

ベテランのSCほど雇い止めに?

果たして選考は本当に公平、公正だったのか。

労働組合・心理職ユニオンがX(旧Twitter)とはがきの郵送によるアンケート調査(回答数728件)を実施したところ、勤続年数別にみた雇い止めの割合は、「1〜5年」が7.2%なのに対し、「6〜10年」は30.7%、「11〜15年」は32.0%、「16〜20年」は35.8%と、年数が長いほど高い傾向があることがわかった。

また、年代別では、「30代」が21.3%、「40代」が21.5%、「50代」が32.6%、「60代」が31.0%と、ほぼ年代に応じて上昇していることが判明。勤続年数が長く、年齢の高い「ベテラン」が雇い止めの中心となった可能性があると、同ユニオンは指摘する。

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