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イオン、24年問題対応を超えた「物流改革」構想 物流責任者が次世代物流構想のすべてを語った

東洋経済オンライン / 2024年3月14日 7時50分

ーー既存の物流網が時代にそぐわなくなってきたということですか。

そうだ。2000年代に整備された現在の物流は当時のイオン、つまり大箱の総合スーパー(GMS)業態にとって最適な物流網だった。そこから20年あまりが経ち、事業の主役は中小型の食品スーパーやドラッグストアとなった。さらに「まいばすけっと」のような超小型店など、業態構成が多様化してきている。

テクノロジーの進化にも追いつかないといけない。アナログ技術が中心の日本のスーパー業界に対し、アマゾンなどのECプレイヤーは倉庫の自動化やデータ活用などを進め、物流を進化させてきている。

こうしたビジネスモデルの変化やテクノロジーレベルの発展に合わせて、もう一度現在、そして2030年以降の戦略にあった物流網に構築し直したい。

ーー物流センターなどインフラを再構築するということでしょうか。

インフラへの投資には取り組んでいく。まずは機能再編だ。GMS中心から中小型店中心に切り替わってきたことで、店舗当たりの物量は減る一方、全体に占める食品の比率が大きく増えている。食品はリードタイム(発注確定から納品までの時間)が短く、温度管理や衝撃への対応など取り扱いが難しい。業態や商品の構成の変化に合わせて、各物流センターの物理的な場所や機能についても再設計する必要がある。

倉庫内業務の自動化にも取り組む。物流の人手不足はドライバーだけではない。昨年10月には工場や倉庫のロボット制御に知見を持つベンチャー、Mujinとパートナーシップを締結した。2026年までをメドにロボットとデータを活用した「次世代自動化モデルセンター」づくりに着手する。

投資はハード面にとどまらない。卸との連携強化も進めていく。

業界全体にいえる課題だが、日本では卸業者さんの配送網が発達しており、われわれ小売業の物流は卸さんに任せきりな側面がある。そのため小売りが物流を考えるときは店舗とセンターの間に限られるし、卸さんからしても卸の拠点からわれわれのセンターまでしか関与できない。こうした状況で各プレイヤーが個別最適を試みても、それが必ずしも「全体最適」になるとは限らない。

各段階で「安全係数」が働いている

これは2024年問題対応の話にもつながるが、小売業はどうしても特売や天候などによって毎日の物量が変動しやすい。当社の物流センターの担当者にすれば、「もしトラックが足りなかったら大変」と考えて、余分にトラックを手配する。食品に関しては発注の確定から配送までの時間が短いため、この傾向が特に強い。確定情報を待たずに経験則に頼った配送計画を組む必要があり、余裕のある配車計画になりがちだ。

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