イオン、24年問題対応を超えた「物流改革」構想 物流責任者が次世代物流構想のすべてを語った
東洋経済オンライン / 2024年3月14日 7時50分
同じような現象は卸さんでも起こりうる。サプライチェーンの各段階でこうした「安全係数」が働いていることも、社会全体で物流リソースの逼迫を起こしている一因だ。
こうした日本型物流の課題をどう克服するか。カギを握るのがデータの共有だ。発注情報や需要予測、倉庫の在庫状況などのデータと連動した配送計画をAIが策定し、サプライヤーにもそれらの情報を随時共有する体制を整えていく。各プレイヤーが小売りの動向を早期に知ることができ、かつ確実性の高い情報を基にプランニングできるので、サプライチェーン全体の物流の無駄を減らしていけるだろう。
ーー具体的にはどう進めていきますか。
2024年問題対応でさえ、地方会社の現場からは「これはどうするの」「あれはどうするの」といろいろな意見が出た。今後、全国のイオンに横展開する中で、こうしたトライアンドエラーは出てくるだろう。
スーパーの物流は運ぶ量が多く、時間的な制約も強い。そんなスーパーの物流を変える難易度は非常に高い。同じグループであっても、「新システムが組み上がりました。絶対うまくいくのですぐにこれに切り替えてください」みたいなことはありえない。
そのような中で改革を進めるには、各社の経営のイニシアチブが必須だ。ただ、経営層には物流に造詣が深くない方もいる。各地域の経営者とプロジェクトの進捗を確認し、目線を合わせてもらうため、昨年は出張だらけの1年だった。そういった努力は今後も必要になってくると思う。
ーー2000年代の物流構築以降にグループ入りした事業会社の中には、いまだにイオンの物流網と統合できていない企業もあります。そうした企業との関係も今後の焦点になりそうです。
私が以前在籍したユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスなど、独自の物流網を使い続けている子会社の店舗は全体の3割弱程度だ。一気に統合を進めて、その会社の良さが損なわれてしまっては意味がないので、今後も共通化を強制するつもりはない。
ただ個人的には将来的に統合していくべきと考えている。20年前に物流と同時に改革を進めたプライベートブランド「トップバリュ」は、現在ではどの事業会社からも活用したいと要請されるグループの求心力になっている。物流も有無を言わせないくらい合理的な仕組みをつくれば、今後外部環境の厳しさが増す中でグループ全社に活用いただけるはず。難易度は高いが、その分挑戦する意味は大きいと思っている。
冨永 望:東洋経済 記者
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