堀場製作所「創業家の社長候補」が担う5カ年計画 次世代車と半導体分野などで営業利益1.7倍に
東洋経済オンライン / 2024年3月15日 7時50分
分析機器メーカー大手の堀場製作所。世界シェア約8割を握る自動車のエンジン排ガス測定装置など自動車関連が看板事業だ。日本の小惑星探査機「はやぶさ2」が持ち帰った小惑星「リュウグウ」の石や砂の化学分析に参加したことでも知られる。
【急騰した株価のグラフ】1年前の7500円前後から足元は1万5000円超と約2倍に
同社の株価はこの1年で急騰している。1年前の7500円前後から足元は1万5000円超と約2倍に。2月は月間で2割上昇し、とくに2月15日は前日比16.8%となる2190円も上昇した。理由は前日に発表した中長期経営計画にあったようだ。
2028年12月期までの今後5年で売上高4500億円、営業利益800億円を目指す。2023年12月期比で売り上げは約1.5倍、営業利益は同約1.7倍にする計画だ。ただ、数値目標のほかにも注目すべき点があった。
計画の「リーダー」は会長の息子
1つは「リーダー」として計画をまとめたのが堀場弾常務執行役員(44)であること。創業家として3代目社長を26年間務めた堀場厚会長(76)の息子だ。
厚氏の後任となった足立正之現社長(61)は、2016年公表の中長期経営計画でリーダーを務めた後に社長に就任した。それだけに弾氏のリーダー起用は目を引く。
弾氏は2004年入社。2008年にアメリカ子会社に出向し、以降はアメリカ子会社社長、水・液体計測分野のサービスを手がける堀場アドバンスドテクノ社長を歴任。2023年からは半導体関連子会社の堀場エステックの社長も務める。2020年からはグループの常務執行役員だ。
社歴は長いものの、新中計の発表に当たって報道陣の前に初めて姿を見せた弾氏。自身が中心となって設定した計画について、次のように力を込めて語った。
「アメリカ子会社やグループの経営を通じ、堀場のポテンシャルは非常に高いと感じている。よりグローバルで『ホリバリアン』(従業員)の能力を生かすことができないかと考え抜いた計画だ」
新中計のもう1つの注目点は、これまでの投資がついに実を結ぶと期待させる中身だったことだ。
看板事業の自動車関連では、自動車の開発やEV(電気自動車)・燃料電池車の試験領域が本格的な収益貢献を始めそうだ。
買収事業がようやく利益貢献
堀場製作所は2015年にイギリスのマイラ社の事業を約8300万ポンド(当時の為替レートで約155億円)で取得、車両開発や走行試験施設の運営を始めた。2018年にはドイツのフューエルコン社を買収、EV用電池や燃料電池の試験装置開発に参入した。
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