東京でも感染者が見つかった「はしか」どう防ぐ? 少ないウイルス量でも感染して発病する可能性
東洋経済オンライン / 2024年3月15日 7時20分
海外で流行する麻疹(はしか)だが、2月以降、大阪と東京でも感染が確認されている。ヨーロッパのような大流行は日本でも起きうるのだろうか? どのように対策すればいいのか。
高いワクチン接種率が必要
麻疹の初期症状は咳、鼻水、のどの痛み、軽度の発熱とふつうの風邪と変わらない。ふつうの風邪なら3〜4日すれば解熱傾向となるが、麻疹ではウイルスが全身に広がり、その頃から高熱となり、皮膚に赤い斑点が出て麻疹と診断される。
風邪症状を発症する3日前、つまり無症状のうちからウイルスを排出し始めるので、診断がついて隔離されるまでには1週間ほど経っていることになる。しかも麻疹は、咳やくしゃみをしなくても、普通の呼吸で排出される呼気中にウイルスが含まれ、空気感染する。少ないウイルス量でも感染して発病させうるため、感染が広がりやすいのが特徴だ。
麻疹は1人から12〜18人に感染する。インフルエンザでは1〜2人、新型コロナでも2〜3人にしか広がらない。それでもインフルエンザや新型コロナは大流行した。もし麻疹ワクチンがなければ、破局的な流行が起きるのだ。
感染力が強いと、集団のほとんどの人が免疫を有していないと流行が起こりうる。麻疹ワクチン接種率は95%を維持しなければ流行が生じるとされる。実際に患者が急増しているヨーロッパでは、2019年と2022年を比較して、ワクチン接種率が低下している。1回目の接種率は96%から93%に、2回目の接種率は92%から91%に低下しており、このわずかな接種率の低下が大流行の原因と考えられている。
現在の麻疹ウイルスは、紀元前6世紀頃に出現したとされる。ヒトに適応し、ヒト以外の動物には感染しない。よってヒトに対して介入するだけで麻疹はコントロールできる。うまくいけば天然痘のように撲滅できるかもしれないのだ。
対して、コロナ、インフルエンザや狂犬病などの人畜共通感染症は制御が困難だ。いまも世界で感染の連鎖が続いている新型コロナウイルスは、どの動物から最初のヒトに感染したのか、由来は不明なままだ。次の新型コロナウイルスは数年以内に発生するだろう。
インフルエンザは鳥や豚に感染し、次々に新型インフルエンザが発生する。2009年に発生した新型インフルエンザでは、どこからともなくウイルスが現れ、当初は高い死亡率が報告されたため、世界中を恐怖に陥れた。コロナやインフルエンザは、エアロゾルで感染するため、瞬く間に感染者が増加する。抗ウイルス薬の供給が逼迫すれば打つ手はない。
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