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東京でも感染者が見つかった「はしか」どう防ぐ? 少ないウイルス量でも感染して発病する可能性

東洋経済オンライン / 2024年3月15日 7時20分

狂犬病は哺乳動物すべてに感染し、ときどき感染動物がヒトを咬むことで感染する。家畜やペットへのワクチン接種が行われても、野生動物での感染を制御することはできない。いまなお全世界では、およそ6万人が狂犬病で命を落としている。

麻疹ワクチンの有効率は驚異の97%

麻疹ワクチンは、1958年に開発された。ウイルスを何度も継代培養すると、麻疹ウイルスに対する免疫反応を引き起こすが、ほとんど症状を起こさないように弱毒化できることがある。

その生きたウイルスが弱毒生ワクチンの有効成分だ。このワクチンは1963年にアメリカで認可され、WHOによって世界中で大規模に使用されている。この弱毒生ワクチンは非常に有効で安全性が高い。現在日本で用いられているのも弱毒生ワクチンであるが、2回の接種で97%の麻疹発病予防効果がある。COVID-19のワクチンが登場したとき、95%の発病予防効果に世界は驚いたが、それを超える性能をずっと維持しているのだ。

ワクチンは麻疹患者数を大幅に減少させ、何百万人もの命を救ってきた。しかし、麻疹は依然として公衆衛生上の大きな問題であり、世界中で年間10万人以上の死者を出している。現在、最も感染者が多いのはアフリカ、南米、アジアである。しかし今、ワクチンが行き届いているはずの国でも再び流行するようになった。

感染症のコントロールに影響するファクターは、ヒト以外に感染するか、ウイルスの排出ルートと期間、感染した場合に発病する割合、無症状の感染者から他者に感染が起きるか否か、有効なワクチンの有無などだ。

天然痘は、いま世界で広がっている「M痘(mpox)」のヒト版で、ヒトにしか感染しない。1980年にWHOから撲滅宣言がなされたが、かつては世界中および日本でも大流行を繰り返し、死亡率が30%と高く恐ろしい疫病であった。

天然痘は体中の皮膚に、ニキビのように膿をもったブツブツができ、その汁から感染する。その汁に触らなければ、隣にいても感染しない。また、発病して天然痘とわかる症状が出てからしか他者に感染しないため、隔離が容易で、周囲にいた人たちに種痘という有効なワクチンを実施すれば感染は広がらない。だから感染をコントロールできたのだ。

麻疹は天然痘と同様、ヒト以外には感染しない。ただし、無症状のうちからウイルスを排出し、空気感染でどんどん広がるため、麻疹患者を隔離しても封じ込めることはできない。どこでウイルスに遭遇するかわからないので、社会の全員がワクチン接種を受けるしか有効な対策がないのだ。

日本でも大流行が起きても不思議はない

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