日経平均「史上最高値」更新の裏で進んでいる茶番 「景気回復の実感」なき株価上昇が意味すること
東洋経済オンライン / 2024年3月16日 8時10分
実感ある(金融機関勤務)62票(12%)
実感ない(金融機関勤務)441票(88%)
実感ない人が多いことには変わりないが、実感ある人と答えた人の割合はさっきより増えている。
これは僕の体感だが、金融機関で働く人の中でも、”市場関係者”(金融市場での取引状況を毎日見ている)に景況感を聞くと、この割合はもっと高い印象がある。
僕も証券会社で働いていたときは、トレーディングデスクで金利商品や外国為替などの取引をしていたから、”市場関係者”というくくりで、金融市場についての取材を受けていた。
「日経エコーチェンバー」の可能性
さて、どうして経済ニュースと世間では、こうも認識とずれるのだろうか。
「日経エコーチェンバー」の影響があるのではないかと僕は思っている。エコーチェンバーとは、自分と似た意見や思想を持った人々の集まる空間内でコミュニケーションが繰り返されて、それらが世の中一般においても正しく、間違いないものであると信じ込んでしまう現象のことだ。
これが『日経新聞』を読んでいる市場関係者の中で起きているのではないだろうか。この先の話は、くれぐれも、僕の仮説でしかない。
日経平均株価というのは、日本経済新聞社が算出・公表している株価指数である。『日経新聞』にとっては、日経平均株価は景気の指標であってほしいと考えるから、「日経平均が上がっているが、実体経済は悪くなっています」という記事は書きにくいだろう。おのずと実体経済がよくなっているという記事に偏ってもおかしくない。
市場関係者たちは、そういう記事を目にする。さらに、周りにいる客も、自分の保有している株価が上昇して個人資産が増えていれば、景気のいい話をするだろう。市場関係者たちが、景気についての取材を受ければ、疑いなく「景気は確実にいいですよ」と答えるようになる。
まさにエコーチェンバーである。
そして、政府も実体経済をよくすることよりも日経平均株価を上げさえすればいいと考える。メディアは、株価が上がっていれば景気はよいとの記事を平気で書くからだ。
事実、政権の経済政策の評価をする際に、日経平均株価がどれだけ上昇したかについて言及することが多い。
先ほどのアンケートでもわかるように、日本の景気がよいと思っている人はほとんどいない。日本では、投資を行っている20歳以上の割合は約3割。その中で、景気がよくなっていると感じるほど大量に投資をしている人の割合はさらに少ない。
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