「ゴミ屋敷に住むシングルマザー」悩み消えた瞬間 片付けの現場では何が起こっているのか?
東洋経済オンライン / 2024年3月16日 11時50分
食器棚の周りにも紙袋の束、書類、チラシ、空き箱などが積み上げられ、腰より下の収納は開かない状態だ。リビングの奥にある寝室には母と娘が2人で寝ている布団が1枚敷いてある。その周りもモノで埋め尽くされ、脱いだままの服や、鞄や書類などがあちこちに放り投げられている。
「この家はとにかく生活雑貨が多かったです。部屋がモノであふれかえってしまう人たちには、100円ショップなどで買える安い生活雑貨が大量にあるという共通点があるように思います。“100円だし使わなかったら捨てればいいや”という気持ちで頻繁に買ってしまうみたいです」(二見氏)
片付けが苦手な人が買いがちな生活雑貨は、同じ機能のモノ(ハサミが3つも4もあるなど)と収納用品だ。本棚、カラーボックス、衣装ケース、小物キャビネット、書類ケースなど……、片付けるためのモノでも多すぎるとかさばるだけ。加えて、押し込む場所が増えれば増えるだけモノも増えていってしまう。
使わなくなった子どものモノを捨てられない親たち
ほかにも、子どもの成長とともに家がモノ屋敷化していってしまうケースもある。「思い出まで捨てるわけではない」とはよく言うが、子どもがよく遊んでいたおもちゃ、いつも着ていた服、保育園で使っていたモノ、小学校の教科書や宿題……。
子どもの成長を示す思い出のモノたちはやはり捨てづらい面がある。この家にも2階に並べられたゴミ袋の中には子どもの服が多くあった。
「子どもも急激に成長していくのでモノがめちゃめちゃ増えてきて。子どものちっちゃい服とかも売ろうとか思っていたんですけど、全然追いつかず。歴代のものがそのままの状態になっているっていう感じです」(母親)
二見氏いわく、子どもが親のモノを捨てられないケースは稀で、親が子どものモノを捨てられないケースがほとんどだという。そのため、子どもが実家を出た後も歴代のモノたちでパンパンになっている部屋を片付ける依頼は非常に多いそうだ。
「勝手に捨てるのではなく、“もう捨てていいんじゃない?”と子どもが認めてあげるっていうのが大事だと思います。このケースに限らず、誰かの同意や同調があると捨てることへの罪悪感が薄れ、すんなり手放すことができるようになることが多いです」(二見氏)
シングルマザーの一軒家がゴミ屋敷になった理由
小学校高学年になる娘が生まれる前からこの家に住んでいるという母親。住み始めてもう24年になるというが、娘を産む前にも一度業者に頼んでゴミを一掃したことがある。しかし、4年ほど前から再びゴミが増えてきてしまった。
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