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33年ぶり5%超でも「賃上げ一色」はまだ遠い 春闘で注目が高まる日銀マイナス金利解除の行方

東洋経済オンライン / 2024年3月16日 8時0分

UAゼンセンの賃上げ集計ボードは「満額」の赤い文字がずらりと並んだ(記者撮影)

「ファイブ・ツー・エイト(5.28)!」

【グラフで見る】賃上げ率は33年ぶりの高い水準となった

「33年ぶりです!」

まるでテストに臨むように、連合の会見場に集まった記者たちは、机に裏返しで配られた資料をいっせいにひっくり返した。春闘の賃上げ交渉にかつてない注目が集まる中、3月15日夕に迎えた連合の第1回集計。5.28%と33年ぶりの高い回答集計の数字に、外報や速報メディアの記者たちが電話で報告する声にも驚きがにじんだ。

春闘賃上げへの注目度を一段と引き上げたのが、日本銀行の金融政策との結びつきだ。

日銀は「賃金上昇を伴う2%物価目標の持続的・安定的な実現」が見通せたとして、マイナス金利解除をはじめ政策修正に踏み切るうえでの判断材料に春闘を挙げてきた。植田和男総裁は3月13日の国会答弁でも、改めて「(春闘が)大きなポイント」と述べている。

予想された「高い賃上げ率」

通信社が5.28%の賃上げ集計を速報すると、ドル円相場は一時、円高方向に振れた。そして、3月18~19日の日銀の金融政策決定会合でマイナス金利解除に踏み切る可能性が高まってきた。海外投資家も含めて金融市場で関心が高まる中、日銀の総裁会見が近づいている。

高い賃上げ率が出ると予想はされていた。

3月7日に連合が公表した要求集計は5.85%と30年ぶりに5%を超えた。3月13日の集中回答日、最初に数字を公表したのが製造業の産別組織が集まる金属労協だ。

大企業が軒並み満額回答する中、特に驚きをもたらしたのが日本製鉄。鉄鋼大手3社の労働組合が月額3万円を要求したのに対し、JFEスチール、神戸製鋼所が要求通りに回答した。一方、日本製鉄は要求を超える3万5000円の賃上げを回答したからだ。

3月14日、流通や外食、繊維などの労働組合を束ねるUAゼンセンが5.91%(加重平均)という高い数字を示した。流通業ではイオングループ各社が、先駆けて2月下旬に満額回答を得ており、今年は地方のスーパーが追随した。「人材確保のために、ついて行かなければならないという思いが働いたのではないか」とUAゼンセンの松浦昭彦会長は会見で語った。

そして迎えた3月15日の連合の全体集計。5.28%という数字は、1991年の5.66%を記録して以来の高さだった。「ステージ転換にふさわしいスタートを切れた」と連合の芳野友子会長。

中小企業の賃上げ状況が見えるのは4月

ただし、高い第1回集計をもって「賃上げが浸透した」とは言うにはまだ早い。

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