1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

33年ぶり5%超でも「賃上げ一色」はまだ遠い 春闘で注目が高まる日銀マイナス金利解除の行方

東洋経済オンライン / 2024年3月16日 8時0分

ポイントは2つある。1つは、「誰が賃上げの恩恵を受けるのか」。

会社側は初任給引き上げと、2年目以降の若手と逆転を避けるための引き上げに傾斜している。若年層人口の減少が著しい中、人材確保への危機感は強い。組合側の要求を超える回答が相次ぐ背景にも、労働組合側が要求する一律引き上げに応えたうえで、それに加えて若年層引き上げを実施する実情があるようだ。

「初任給引き上げ競争は過熱気味だ」と連合会長代行の松浦UAゼンセン会長は懸念を示した。

もう1つは、現時点での賃上げ率が大企業中心の数字であることだ。

回答集計の中心となる平均賃金方式の数字は、組合員数で加重平均するため、組合員数が多く交渉で先行する大企業の数字が全体を引き上げる。第1回集計対象の144万人のうち、組合員数1000人以上の大企業の組合員が9割。最終結果では7割まで下がる。

今年は、大企業と中小の賃上げ率の差が広がっており、組合員数300人以上で5.30%、300人未満で4.42%。全体の5.28%の数字はほぼ300人以上の企業での数字だ。

集計に反映された中小企業の組合員は4万人弱と春闘の中小組合員の1割程度。現在交渉中かこれから交渉に入るところが多く、中小の状況が見えてくるのは4月4日に公表予定の連合第3回集計からという。

芳野会長は「中小はこれからが交渉の本番。今回の流れを労働組合のない職場に波及できるかが連合に課せられた使命だ」と気を緩めない姿勢を強調した。そもそも日本の労働者のうち中小企業で働く人が7割を占め、組合組織率は10%以下と低い。

マイナス金利解除で整合性はとれるのか

日銀の金融政策と関連して「賃金と物価の好循環は達成されたと感じるか」との質問に対しては、芳野会長は「今は先行組合の集計結果であるので全体を見てからになるかと思う」と回答を避けた。

日銀の植田総裁はかねて、賃上げの状況を確認するうえでは中小や地方が大事と繰り返してきた。大企業のみのこの段階で、政策修正のための判断材料は十分なのか。市場関係者がマイナス金利解除に前のめりになる中、次回4月25、26日の決定会合まで待つことがリスクとなるにしても、3月に政策修正を決めた場合、これまでの説明とどう整合性をとるのか。

かつてない注目度の中、日銀の金融政策決定会合が近づいている。

黒崎 亜弓:東洋経済 記者

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください