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プラゴミの"ダイエット"ができないジレンマ 環境問題に意識が高くても行動を伴うのは困難

東洋経済オンライン / 2024年3月17日 11時0分

横浜市内でのゴミ拾いの様子。個人でできる環境配慮活動はさまざまだ(写真:鈴木さん提供)

横浜市在住の鈴木さん(仮名:50代女性)は、日々の生活の中でプラゴミをいかに減らすかを考えている。買い物をする際は、なるべくプラ包装が少ない商品を選ぶ。生活様式は大きく変えずに、ちょっとした選択で、プラゴミを減らすことは可能だと実感している。

【写真で見る】ダイエットでカロリーを記録するように、プラゴミの量を記録していった「執念の」画像がこちら

コロナ禍では、デリバリーを含め家で食事する機会が多く、容器などのプラゴミが増えた。

気になった鈴木さんは当時、どれだけ自宅からプラゴミを出しているかを知るために、毎日重さを計量することにした。その目的は「ダイエットと一緒で計量、記録することで少しずつ減らすことでした」と語る。

計量ダイエットは、摂取する食品のカロリーなどの量を把握することで過食を防ぎ、健康的な食生活に役立つとされている。体重の減少をグラフ化してワクワクしたように、プラゴミの重さを「見える化」することで、削減の動機にしようと考えたのだ。

プラゴミなしのライフスタイルは困難

しかし、「続けていくうちに、どんな生活をすればプラゴミを出さずに済むかがわかってきました。でも、そのライフスタイルを取れないのが現実だと痛感しました」と振り返る。

自炊用の食材も、お惣菜も、プラスチック容器や包装で販売されている。毎食外食にすればプラゴミは減るだろうが、現実的ではない。あるいは、山奥で自給自足をすれば、プラゴミは出ないかもしれないが、「(都市に住み仕事を持つ)自分にはできない」と鈴木さんは話す。

石油由来のプラスチックは、あらゆる商品の包装に使われている。便利で使い勝手が良い反面、温暖化の原因となるほか、不適切な廃棄は海洋汚染を引き起こす。

大都市での生活は利便性が高いが、環境への負荷も高い。国際エネルギー機関(IEA)によると、都市には世界人口の約半数が暮らし、国内総生産の8割を創出しているが、エネルギー消費の3分の2を占め、温暖化ガスの約7割を排出している。

2050年には世界人口の7割以上が都市に住むことが見込まれており、これまでのライフスタイルを続ければ、都市部の温暖化ガスはさらに増える。

鈴木さんは現在も、プラゴミ量の計測を月1回のペースで続けている。仲間と一緒に横浜港へ続く大岡川周辺でゴミ収集活動なども継続。「都会に住む人々こそ、自然や環境に配慮した生活をすべきです」、そう鈴木さんは主張する。

地球環境のため一人一人にできることとは

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