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標高4000m!TVマンが単独で目指した「天空の村」 「低酸素」「スマホなし」どこまで行けるのか?

東洋経済オンライン / 2024年3月17日 7時10分

つまり、ほとんど何も調べずにこんな辺境の街に降り立ってしまったのだ。

ただ一人だけ、世界を5年近く放浪しているカナさんという30代くらいの日本人女性が数週間前にスピティに旅立ったという情報を得ていた。

だが、彼女とはマナリの宿の食堂で小1時間くらい話したきりなので、まだこの街にいるのか、もう他の場所に旅立ってしまったのかもわからない。

心のどこかで「ここにいればいいなぁ」と、うっすらと期待してしまっている自分がいた。

RPGで見た“はじまりの街”に実際に立つ

運転手に聞いた話によると、カザは新市街と旧市街に分かれていて、新市街のほうには学校や病院、割と新しい住宅があり、宿を探すなら旧市街のほうがいいとのこと。

街ゆく人に英語で旧市街の場所を聞くと、多くの人が英語を喋れることに驚いた。道端に座っている40代くらいのジーンズをはいた男性に中心街の場所を聞くと、わざわざ立ち上がり、優しい笑顔を浮かべながら丁寧に行き方を教えてくれた。

スピティはヒマラヤ登山やトレッキング目当てに人々が集まる場所としても知られている。その中心地であるカザの旧市街は、スピティ川が流れる渓谷に沿って約160kmにわたり点在する小さな村の「はじまりの街」と呼ばれている。

その呼び名にふさわしく、ジブリ作品やロールプレイングゲームに登場する「旅の準備をする街」の様相を呈していた。

商店が立ち並び、八百屋などの食料品や洋服などの日用品、雑貨。日本の登山ショップには到底敵わないが、リュックサックやクリップなどの必要最低限の登山グッズが売られている。

観光客に向けた可愛いチベットのアクセサリーを売っている路面店も見かけた。ただ、常に人が溢れかえっていた北インド中心部の街々のような活気はなく、人通りが少なく物資も乏しいという印象を受けた。

街の中心辺りで、チベット語と英語で書かれた小さな木造の観光案内所の看板を見つけた。

案内所にはスピティバレー全域の村の地図と、ヒマラヤに生息している野生動物のイラストが描かれた看板がある。

熊やキツネ、ヤク(標高4500〜6000mの高原に生息する絶滅危惧種の毛の長いウシ科の動物)、マナリの旅宿にあった写真集で見つけたユキヒョウの姿もあった。

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「ここなら宿の情報を持っているに違いない」

室内に入り、「エクスキューズミー、ハロー」と声をかけるが返事がない。どうやら無人案内所らしい。よくよく考えてみると、日が落ちてしまった時刻に、ほとんど観光客のいないこの街で、有人の観光案内所なんてある訳がない。

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