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標高4000m!TVマンが単独で目指した「天空の村」 「低酸素」「スマホなし」どこまで行けるのか?

東洋経済オンライン / 2024年3月17日 7時10分

すれ違う人の顔つきや洋服を見ると、観光客や旅人はおらず、100%この辺りに住む人々だ。顔が平たいチベット系の人々に交じり、皮膚が浅黒く鼻が尖った、インド北部のアーリア系の顔つきの人々もわずかに交じっている。

道ゆく人に「ゲストハウスはないか?」と尋ねるが、「知らない。他の人に聞いてみて」という返答ばかりだ。こんな辺境の街で、初日から野宿なんてしたくないので、英語で書かれたHotelやGuest Houseの看板を探し、辺りをさまよった。

もう、四方の山々の上空の明かりが消え、夕方ではなく夜になっている。気温はさらに下がり、ダウンジャケットを着ていても寒い。夏とはいえ、富士山の頂上に近い高さの街なのだ。

「まぁ、なんとかなるでしょう」

かなり良くない状況を覆い隠すように、自身を奮い立たせた、そのときだった。

「ごっつさん」と遠くのほうから、日本人女性の声が聞こえてきた。

「カナさん!」

そこには、ラフなタイパンツに黒い洋服、首にはベージュ色の大きなマフラーを巻いたカナさんの姿があった。

マフラーの上からヒマラヤ山脈の雪のような白い布をまとっている。そのいでたちは、山の女神さまの化身のように思えた。

辺境の地を旅する「もう一人の日本人」

「ごっつさん、スピティに来たんですね。てっきりラダックに行くと思っていました」

「ところで、宿を探してるんだけど、イイとこ知らない?」

「カザ、宿が少ないんですよ。私の泊まっているところ安いんで、そこに泊まります?」

彼女は標高4166mに位置するチベット僧院・キーゴンパに行き(チベット語で寺院のことをゴンパという)、その帰り道、偶然にもカザの街に立ち寄ったとのこと。

キーゴンパとは11世紀に設立された岩山の上に砦のように建つスピティ最大の修道院で、ラマ(チベット僧侶)のための宗教訓練道場。標高4000m超えの村からカザに下りてきたから、息がしやすく過ごしやすいとサラリと話していた。

彼女の泊まっている宿に行き部屋に入ると、そこは、まるで山小屋の一室。

簡易なベッドだけがあり、テーブルもない。電灯もなく、部屋に大きなキャンドルが1つあるだけだ。

やはり、5年近く旅を続けているので宿の節約術にも長けている。

※後編へつづく

後藤 隆一郎:作家・TVディレクター

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