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「札幌ドーム」と「日ハム新球場」の残酷な明暗 ネーミングライツの応募もなく苦戦が続く

東洋経済オンライン / 2024年3月17日 9時0分

「売り上げの大きさで言ったら、五分五分というのは納得いかない気持ちもあるんですけどね」とあるファイターズの営業担当者から聞いたことがある。

観客動員数は増えたが経営状況は厳しかった

札幌ドームは2002年の「FIFAワールドカップ」の開催に名乗りを上げるために建設されたが、その後の経営を安定させるために日本ハムファイターズを誘致。東京ドームでの観客動員が伸び悩む日本ハム側と利害が一致して、2004年、札幌ドームへの本拠地移転が決まった。

日本ハムは札幌ドームに移転してから、北海道を独自のフランチャイズとして開拓。東京ドーム最終年の2003年は、131.9万人だった観客動員数は、移転1年目には161.6万人と増加した。日本ハムの事例は、本拠地移転による成功例とされた。

しかしながら、経営状況は厳しかった。FA制度の導入以降、選手年俸は上昇の一途をたどった。また、ファンクラブの構築などマーケティングや営業コストもかかったからだ。

日本のプロ野球は、1954年の「職業野球団に対して支出した広告宣伝費等の取扱について」という国税庁通達によって、プロ野球チームが出した赤字を親会社が補填した場合は「広告宣伝費」扱いとなって税制的に優遇されていた。しかし、それでも人気のないパ・リーグチームの経営は厳しかった。

おりしもこの2004年に起こった「球界再編」騒動は、赤字に苦しむ近鉄がオリックスと合併するなどして、2リーグ12球団を1リーグ10球団にするという経営側の意向に端を発している。プロ野球選手会のストライキなどで、経営者の意図は挫かれ、楽天の新規参入もあって、2リーグ12球団は維持された。

指定管理者制度を最初に活用したマリーンズ

しかしこの時期から特にパ・リーグで経営改革が次々と行われるようになる。リピーターを増やすためのファンクラブの改革や、ネットでのチケット販売、応援団の再編などもそうだが、最大のものが球団の「指定管理者」への移行だった。

2003年、小泉純一郎内閣の「骨太の改革」の一環として「指定管理者制度」が導入された。従来は公施設の管理業務は、地方公共団体が出資する法人や公共的団体、第3セクターなどに限定されていたが、小泉改革によって、株式会社などの営利企業・財団法人・NPO法人・市民グループなど「法人その他の団体」に包括的に代行させることができるようになった。

プロ野球でこの指定管理者制度を最初に活用したのが千葉ロッテマリーンズだった。本拠地の「千葉マリンスタジアム(現ZOZOマリンスタジアム)」は、当初第3セクターが指定管理者になり、マリーンズは球場使用料を支払っていたが、2006年に球団が指定管理者になった。

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