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下請けに「代金減額」、日産へ注がれる厳しい視線 経済好循環を阻む「甘えの構造」に公取がメス

東洋経済オンライン / 2024年3月17日 7時50分

日産自動車は公正取引委員会から下請法違反を認定され、再発防止などを求める勧告を受けた(撮影:梅谷秀司)

2024年春闘の集中回答日となった3月13日、日産自動車は月1万8000円の労働組合の賃上げ要求に対して満額で回答した。一部の報道機関を対象にしたオンライン会見を開き、内田誠社長が「第1に従業員が必死に貢献してくれた。第2に物価上昇を勘案した。第3に自動車業界を代表する企業としての責務などを総合的に判断した」などと満額回答に至った背景を説明した。

【写真】日産自動車は、下請事業者に支払う下請代金から「割戻金」として30億2367万円を減額したとして勧告を受けた

その後、「下請法違反で、当社は公正取引委員会(公取)から勧告を受けました。社会に対して、関連の業界の方に対して、従業員に対して、すべての皆様に対して大変なご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げたいと思います。申し訳ありませんでした」と頭を下げた。

いつから行われていたかわからない

前週の3月7日、公取が日産に対して下請け業者への納入代金を一方的に減額したとして下請法(下請代金支払遅延等防止法)違反を認定し、再発防止などを求める勧告を行った。

日産はアルミホイールを製造するなど36の下請事業者に対して、発注時に決めた金額から「割戻金」の名目で減額していた。こうした行為は下請事業者との合意があっても違法となる。

公取の片桐一幸取引部長は「適正な価格転嫁が強く求められる中、下請法違反がサプライチェーンの頂点に立つ企業で行われていたことは非常に遺憾だ」と強く非難した。

違反総額は30億2367万円で、2004年以降に公取が勧告した中で最高額となる。ただし、認定されたのは2021年1月から2023年4月までのものでしかない。公取の菅野善文上席下請取引検査官は「かなり以前から行われてきた。具体的に(いつからかは)日産もよくわからない、ということだった」と指摘する。

日産は1月末に減額した金額を返金、割戻金の運用も廃止している。公取の勧告を受けた同日には「法令遵守体制の強化を行うとともに再発防止策の徹底に取り組み、今後の取引適正化を図ります。広く関係各署に多大なご迷惑をおかけしましたこと改めて深くお詫び申し上げます」といった文書を開示。

前述のように「一部メディアに限った」会見で内田社長が謝罪もした。もただ、「開かれた」記者会見の場で説明や謝罪はしておらず、さかのぼって調査するかも明確にしていない。

ある日産系部品メーカー関係者は、「部品の仕様変更による臨時の値下げ要請もある。日産からは『もっと安くなるはずだ』と言われて押し切られるときもある」と憤る。別の日産系部品メーカー幹部は、「内田社長は調達畑の出身。責任を問われないのか」と疑問を投げかける。

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