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山形新幹線、25年ぶり新型「E8系」が導く大変革 アプローチ線、トンネルに続きフル規格化も?

東洋経済オンライン / 2024年3月18日 6時30分

福島のネック解消へ「アプローチ線」増設

上野駅を出発した列車は宇都宮駅を過ぎたあたりからぐんぐんスピードを上げ、車窓から見える外の景気も飛ぶように流れていく。スマホの速度表示アプリで計測したら確かに速度は時速290kmを超えていた。その割にはあまり揺れていないように感じられる。「高速走行時の横揺れを軽減するフルアクティブサスペンションを全車両に設置して、乗り心地を向上させている」と、同乗したJR東日本の担当者が教えてくれた。

郡山駅では駅員たちが「郡山駅へようこそ」と書かれた横断幕で出迎えてくれた。列車は30分ほど停車した後、再び上野駅に向かって走り出した。

山形新幹線をめぐっては、ほかにも輸送安定や所要時間短縮のための取り組みがいくつか行われている。福島駅には新幹線と在来線が直通するための「アプローチ線」が設けられているが、アプローチ線は1本のみで上り、下り兼用となっている。そしてこのアプローチ線は福島駅の14番線につながっている。

福島駅の新幹線ホームは4本あり、基本的には11・12番線が上り東京方面、13番線が下り仙台・盛岡方面となっているが、14番線は下り山形方面と上り東京方面の供用となっている。そのため仙台方面からやってきて山形新幹線と連結する上りの東北新幹線は、下りの13番線をまたいで14番線に入る。そして山形新幹線と連結した後は、再び下り線をまたいで上り線に入る。

このように福島駅で上り線と下り線が交差しているとダイヤ乱れの影響が大きくなりかねない。たとえば、山形方面からやってきた上り列車の到着が遅れ、東北新幹線と連結した上り列車が線路をまたぐタイミングがずれると、下り列車にも影響が出てしまう。

そこで、アプローチ線をもう1本建設して上りホームにもつなげて、山形新幹線の上りと下りを完全に分け、上りの列車が下りの線路を横断しなくてもすむようにする工事が現在行われている。2026年度末に完成の予定で、運行の安定性の向上が期待できる。

「新トンネル」はフル規格への布石?

もう1つは山形新幹線が走る奥羽本線の庭坂―米沢間約23kmの区間に、新トンネル(仮称:米沢トンネル)を建設する構想である。この区間は雨、雪、あるいは動物との衝突により新幹線の運行に大きな影響を及ぼしている。JR東日本と山形県は抜本的対策として新トンネルの事業化に向けて2022年10月に覚書を締結した。トンネルが完成すれば雪などの影響が減り、運行の安全性、安定性が増すほか、10分強のスピードアップも見込まれる。

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