今すぐ「AIに淘汰される上司」の悲しすぎるルーツ 上司の仕事は「情報管理」でなく「目標管理」
東洋経済オンライン / 2024年3月19日 7時50分
「800万円の目標に対して、全然達成してないじゃないか」
「来月以降も厳しいです。値上げの影響が響いてまして」
「その話は先月も聞いたよ」
「申し訳ございません」
こんなやり取りが、2時間近く続く。同席した若者は、きっとこう思うだろう。
「1日の勤務時間が7.5時間なのに、2時間もこんな会議に費やすなんて、信じられない!」
手元の資料をめくりながら、
「進捗管理資料を見ればわかること」
「わざわざ集まって報告させる意味がわからない」
と呆れるはずだ。しかも会議がはじまってもムダ話が多かったり、成果が出ていない人の言い訳を聞かされたりしていると、
「大事な時間を返してほしい」
と誰だって思う(若者だけではない)。
ある25歳の営業が、このような不満を口にしていた。
「ある日、突然ミーティングルームに集められて、他社の成功事例を聞かされたんです。そんなことに30分もかけるなんて意味がわからない」
「配布された資料を読めばわかることだし、いきなりその場で意見を求められても、何を言ったらいいかわかりませんでした」
課長の呼びかけで、中堅から若い営業までの8人が集められ、30分近く拘束されたという。しかも一度や二度ではない。こういった日々の出来事に、強い不満を感じるようだ。
「あれで、お客様のところへ行く時間が大幅に遅れました。あんなことやっておいて、生産性を上げろ。残業はダメと言われても、できません」
「私が参加しているオンラインサロンではSlackを使っています。Slackを使えば、サクッと情報共有できるし、活発に議論もできる。職場でもそうしてほしい」
こう訴える。
繰り返すが、実務に関する上司のアドバイスは心強い。そこに不満はない。
しかし実務以外で学ぶことがない上司への失望感は、大きい。その実務でさえもAIやロボットに置換される可能性があると確信したら、
「上司から教わることはない」
「この職場では成長できない」
と烙印を押されてしまう。
AIに淘汰されていくマネジャーの特徴
そもそもの問題は、ほとんどのマネジャーが自分の役割をわかっていないことだ。マネジャーの仕事は目標管理である。どのように目標を達成させるのか。そのための管理がマネジメントである。
おそらく組織が小さなころは、マネジャーも本来のマネジメントの仕事を果たすことができたであろう。
しかし組織が大きくなると、いつの間にかそれができなくなる。
組織の規模に伴って、階層が深くなるからだ。本部長がいて、部長がいて、課長がいる。経営陣の下に3階層も組織マネジャーがいると、上からの情報を下へ伝達すること、下からの情報を吸い上げて上に伝達することが、マネジャーの仕事だと思うようになる。
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