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「ひとり言」は脳の衰えを防ぐ簡単にできる対策だ 長期記憶と「言葉に出す」ことの深い関係とは

東洋経済オンライン / 2024年3月19日 18時0分

私は、自分のひとり言を信じたおかげで、30年以上も一途に研究を続けることができました。生物学的にはとっくに老化しているはずなのに、私の脳が生み出すひとり言は老いるどころか、年々威力を増しています。ひとり言の威力たるや、恐るべしではないでしょうか。

いずれにしても、右脳のひとり言に対して、左脳で言い返してみてください。

「それって本当かな?」、「どこかに間違いや問題はないだろうか?」、「例外事例はないだろうか?」。自分の頭の中で、右脳と左脳の真剣なセッションが繰り返されるわけです。

この過程に、外側の世界にあふれている雑多な情報はほとんど関係ありません。というか、むしろそれらは邪魔なノイズのようなものです。

ところが得てして、私たちは外から入力しないと、不安になりがちです。ですが、信じるべきは自分の脳なのです。

自分の左右の脳を信じ、内側で激しく対話を繰り返す──。新しいものや真理というものは、そうやってたどり着けると考えます。

■集中力がアップする言葉

イギリスの研究で、ひとり言で集中力が増すという実験結果があります。このことを、脳のしくみから解説してみましょう。

実験ではある数を見つけるオンラインゲームを4つのグループに分けて、その成績を比較したということです。そのうちもっとも優秀だったのが、ひとり言をつぶやきながらゲームをするグループでした。

しかも「90点を取るぞ」というような具体的な目標を立てるより、「一番になりたい」といったひとり言がもっとも有効だったそうです。

オンラインゲームですから、おそらくコントローラを使いながら対戦するのでしょう。ひとり言をつぶやくことで、まず左脳の「思考系」が刺激され、左脳の前頭葉から「運動系」に指令がいきます。

このとき、ひとり言をつぶやくことで脳がモチベーションを上げ、臨戦態勢に入るということだと考えます。

ゲームでは視覚で数字を捉え、ある数を見つけ次第、手と指を動かしてコントローラを操作します。「運動系」が活性化されていることで、これらの動きも他のグループに比べるとスムーズに行ったと考えられます。

また、「90点を取る」という数値目標より、「一番になる」という言葉が有効だったのもうなずけます。90点という数値それ自体は、概念的なものです。そのため脳の中でイメージしにくいのです。

その点、「一番になる」というのは、ずっとイメージがしやすい言葉です。一番になったときに喜んでいる自分の様子、周りの賞賛する光景が連想されます。イメージ化しやすい言葉であるがゆえに、脳を働かせやすくなるわけです。

ひとり言で記憶を呼び覚ます

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