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「ひとり言」は脳の衰えを防ぐ簡単にできる対策だ 長期記憶と「言葉に出す」ことの深い関係とは

東洋経済オンライン / 2024年3月19日 18時0分

ひとり言によって、記憶力が増すという実験結果もあります。

ちなみに、記憶には「短期記憶」と「長期記憶」という2つがあります。短期記憶というのは、「思考系」脳番地と「理解系」脳番地が合わさってできた、ワーキングメモリに記憶されたものです。

一方、長期記憶というのはワーキングメモリから「記憶系」脳番地、とくに海馬によって情報が蓄えられたものをいいます。

短期記憶が、数字や意味のない言葉の羅列のようなものが多いのに対して、長期記憶は体験に基づいたエピソード記憶などが中心です。逆に言えば、脳は意味を持たない記号より、意味を持つエピソード記憶を重視しているのです。

記憶とひとり言の深い関係

実際、私たちが過去を振り返り、現在の人生、あるいは未来に役立つ情報は何かというと、歴史の教科書に書いてあった年号ではなくて、過去に体験したさまざまな体験やエピソードでしょう。

だからこそ、過去の体験を通じたエピソード記憶が、海馬の長期記憶の中枢に収められるわけです。

脳にしてみると、声帯や顔の筋肉を動かして発せられた言葉=ひとり言は、発せられたという事実で、エピソードと同じ意味と重みを持ちます。

それゆえに、何かを覚えるときは体を動かし、声を発声して覚えます。それによって、エピソード記憶に近いものとして、長期記憶に残すことができるのです。

また、たくわえられた長期記憶を呼び覚ますときにも、ひとり言が大きな力を発揮します。探し物をするときに、無言で探すより、「ノートはどこに行ったのかなぁ」とひとり言をつぶやきながら探してみてください。

すると、ノートという言葉をキーワードにして、さまざまな連想が浮かび、それが長期記憶を刺激して、ノートのありかがフッと思い出されるわけです。

記憶力をアップさせるには「言葉」──それも「ひとり言」がとても大きな力を持っているということです。

加藤 俊徳:医学博士/「脳の学校」代表

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