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医師が明言、がん診断時に「必ず確認すべき」3つ 進行したがんや再発がんは治癒することは困難

東洋経済オンライン / 2024年3月19日 9時0分

咽頭がんや喉頭がんで、声を仕事にしている方から手術で声帯を除くことがベストなのか、あるいはピアノなど楽器演奏が趣味の方に手や指がしびれる副作用がある抗がん剤を使うのが適切かどうかなど、よくよく考えなくてはなりません。

抗がん剤の種類もたくさんありますから、そうした副作用を避ける治療も可能になってきています。

また、患者さんが何よりも大切にされている行事のようなものがあれば、できるだけそれに参加できるようにタイミングの調整も必要になります。

そのためには、治療のなるべく早い段階で、自分はこういう仕事をしているとか、日々、こういうことを大切にしているということを積極的に医師に伝えてください。

残念ながら、医師からそうした患者さんの背景などはあまり聞きません。

だから患者さんのほうから伝えたほうがいいと思います。

がんの治療は長く続くものだから、そうやって双方向のコミュニケーションに基づいて行われるのが理想なのです。

ステージによって治療の目的は変わる

そして、がんにはステージが5段階ありますが、治療もステージによって、その目的が変わります。

一般的に、ステージ1、2の段階にあるがんを「早期がん」、ステージ3、4を「進行がん」と呼びます。この早期がんと進行がんで、「治療の目的」が変わるのです。

早期がんの治療目的は「再発を減らし、治癒を目指すこと」です。

ですから、科学的データに基づいた積極的治療となり、患者さんには、手術や放射線治療をはじめ、負担が大きくてもがんばりどきとして、治療に臨んでいただくことが多いです。

手術でがんを取り去ったあとの抗がん剤も勧めます。

手術が成功したのだから、もういいじゃないかと思われがちですが、このときが再発を防ぐいちばん大切なタイミングですから、ぜひともやっていただきたいと思います。最初に徹底的にやっておけば再発しない可能性がかなり高くなります。

逆にいうと、このタイミングを取り返すことはできないのです。

患者さんが術後の抗がん剤治療に積極的にならないのは、こうした説明が医師からきちんとできていないという、医療側にも責任の一端があると思っています。

がんで寝たきりになることは少ない

そして、進行がんの場合の治療方針ですが、転移が見られるほどの進行したがんや再発がんは、治癒することは困難です。

だからこそ、自分の人生で大切にしていることを最優先する治療になります。

できるだけ旅行に行きたい、おいしいものを食べたい、そういう希望を医師に伝えてください。

ステージ4の進行がんでも、当初は身体的な痛みがそれほどあるわけではありません。痛みが出てくるのは、本当に最期近くになってからです。

がんで寝たきりになることは少ないのです。

最期に近い1か月前ぐらいまでは元気に過ごす患者さんが多いです。

だから好きなことや、やりたいことを諦めないでください。

苦痛でしかない治療では意味がありません。

ご自身の楽しみや生きがいをずっと続けてほしいと思います。

進行がんの場合は、人生の楽しみを諦めないために治療があります。

ステージ4も再発がんも、末期がんではありませんし、天寿をまっとうすることができます。

私の患者さんで、ステージ4で世界旅行に何度もチャレンジされている方もいます。

治療も、やれることがあります。

その点を、どうか誤解しないでいただきたいと思います。

勝俣 範之:日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授、部長、外来化学療法室室長

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