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JR北海道H100形、「旧国鉄色」装飾列車導入の狙い 「個性的な車両」で日高本線と室蘭本線をPR

東洋経済オンライン / 2024年3月19日 6時30分

今回は日高本線と室蘭本線をイメージしたラッピングだが、現時点では設備の関係上、日高本線をワンマン運転で走行できないため、室蘭本線の長万部―苫小牧間と東室蘭―室蘭間で普通列車として運用される。

恐竜や馬、炭鉄港を前面に押し出したデザイン

10時20分過ぎ、日高本線ラッピング車両が苫小牧駅に帰ってきた。乗客を降ろした後いったん引込線に入り、室蘭本線ラッピング車両が入線していた4番線ホームに進入。10mほど離れた位置で展示された。ドアが開放され、車内を自由に見学できるようになっている。

日高本線ラッピング車両は、山側と海側でデザインが異なる。日高胆振のアイヌ文化を象徴する紋様が描かれ、それぞれの側面に馬の産地を表すイラストと国内最大の全身骨格化石「カムイサウルス・ジャポニクス」(通称「むかわ竜」)をあしらった。

一方の室蘭本線のラッピング車両は、黒を基調とした車体に警戒色の黄色が目立つデザインだ。石炭輸送に活躍した石炭車セキ3000をモチーフに、線画で地域の魅力を表現した。北海道内で運用された車両には「道外禁止」という文字が配されていたが、ラッピング車両でもこの表記を再現している。

厚真町の担当者にラッピングデザイン決定の経緯を聞いてみると、デザインは沿線市町が話し合って決めたという。「せっかくデザインするのならただ観光資源のイラストを羅列するのではなく、個性的な車両にしよう」という方向にまとまり、個性を際立たせる中にも地域の魅力を詰め込むデザインを模索。さまざまな議論をする中で国鉄一般気動車標準色と炭鉄港を表現する石炭車が良いのではないかという結論に落ち着き、それをベースとして地域の魅力をデザインに取り入れることとした。室蘭本線では2022年に開業130周年を記念して急行「道外禁止号」という臨時列車を運転しており、これと関連づけて1つのストーリーと捉え、鉄道ファンや地元住民に愛されてほしいという思いも込めたという。

地域振興につなげられるか

ラッピング車両は室蘭本線長万部一苫小牧間と、東室蘭一室蘭間で普通列車として使用される。現時点で運行開始日は未定だが、2両のH100形の運行が地域の鉄道利用増につながるかがポイントになりそうだ。他路線のラッピング車両も取材してきたが、今回のように地元自治体の首長らが一堂に会したお披露目会はこれまでなかった。地元の期待の高さがよくわかる式典であり、2両の気動車はむかわ町の竹中町長が述べたように動くPR車両として、道内外へのアピールを担うことになる。

式典終了後、ホームで自治体職員らが「これからたくさんJRを使って、応援していきましょう」と締めの挨拶を述べていた。厳しい経営が続く路線も多いJR北海道だが、ラッピング車両が一筋の光となることを願いたい。

吉谷友尋:鉄道ライター

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