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551蓬莱「異物混入」も大声援、なぜ深く愛されるか 地元密着を貫くことで、SNSでバズる「名物」に

東洋経済オンライン / 2024年3月19日 20時0分

地元で長年愛されていた銘菓が、ふとしたきっかけで注目されて、一気に全国区の人気を得たという話は珍しくない。もちろん前提条件として、その土地の人がオススメできる商品である必要はあるが、どこかのタイミングで「見つかってしまう」のだ。

551についても、地元での知名度が高かったからこそ、全国からの人気を集めた。関西在住者からプレゼントされたり、吉本芸人のエピソードトークに出てきたり……。そうしたクチコミが地盤にあったうえで、行列や旅情による「プレミア感」が、購買意欲をかきたてる。

その他にも、要因としては「他の大都市と比べて、大阪への出張者・旅行者は母数が多い」とか、「マスコミの多くが東京拠点のため、『お土産ネタ』を扱う際には、東京に並ぶ大都市・大阪の商品を取り上げる」など、いくつか理由は考えられるものの、いずれにせよ、551自身が他県への訴求を積極的にしているようには見えない。

やはり「地元密着」を徹底した結果、企業発信ではなく、消費者ベースで他地域へも波及し、ブランディング構築につながったと考えるのが自然だろう。

出発点を忘れず、真面目に向き合うことの大切さ

筆者は年1回ほど大阪を旅するが、いつも観光よりも、食をメインに据えている。最後まで「くいだおれの街」を満喫するため、帰りの新幹線に乗る際には、何かしらの関西グルメを携えている。もちろん、551の豚まんはレギュラーだが、最近は焼売のほうが、ダイレクトに肉を感じられるので好みだ。もちろんカラシはべったりと付ける。

加えて、近年では「りくろーおじさん」のチーズケーキも台頭してきている。消費期限は常温だと当日、冷蔵でも3日。焼きたてのフワフワ食感は、時間を追うごとに落ち着いていくのだが、だからこそ、いとおしく思えてしまう。お土産グルメの評価軸として、「はかなげか否か」は、かなり大きなウエイトを占めていると感じる。

話がそれてしまったが、どちらのブランドにせよ、地元に忠実であることが、成功につながっているのではないか。

地方で人気を博した商品が全国展開すると、ときたま「地元を捨てた」と表現されてしまうことがある。ちょっとでも「あわよくば」と、ヨソ行きの色気を見せてしまうと、すぐ気づかれるものだ。ひとたび地元軽視と取られてしまうと、イメージダウンは避けられず、後々まで尾を引いてしまう。

反対に「故郷に錦を飾る」という慣用句もある。各地で結果を残せば、ふるさとの誇りとして評価される。物理的に離れていても、心はその街に残っているからこそ、成功を収めたときに、周囲も喜んでくれるのだ。

出発点を忘れず、真面目に向き合うことが大切なのだろう……。今回の騒動を通じて、そんなことを「蓬莱」の豚まんに教わった気がした筆者であった。

城戸 譲:ネットメディア研究家・コラムニスト・炎上ウォッチャー

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