1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

残念すぎる社長の「トラブルから逃げ出す」醜態 「現場でうまくやっておけ」で社員の心が離れる

東洋経済オンライン / 2024年3月20日 9時30分

こんな対応でお茶を濁そうものなら、改革などできっこありません。

たとえクライアントからのクレームはやり過ごせたとしても、現場に「やっぱり社長は本気で時短をやるつもりはないのだ」というあきらめムードが浸透してしまいます。

そのあとでいくら威勢のいい言葉を並べても、もはや社内でまともに受け取る人間はいないでしょう。

「社外との仕事」こそ改革の本丸

時短を推し進めようとするときに問題となるのは、外部のステークホルダー(利害関係者)との関係です。

その過程で起こるさまざまなトラブル処理を、トップが責任をもって引き受ける覚悟が何よりも重要です。トップに覚悟があれば、トラブル発生というピンチを、社内に改革への決意を浸透させるチャンスに転じることができるのです。

電通の時短改革のときも、社員はあちこちで、「商習慣」や「電通たるもの、かくあるべし」のカベにあたっていました。

「クライアントの中に、金曜日夕方に作業依頼をくださって『月曜朝に見せて』というリズムがあたりまえになっている方がおられるので、週末の作業が必須」

「請求書は紙で発行して直接持参しないと受け取ってくださらない得意先がおられる。郵送さえもNGなので、PDFをメールで送るなど論外」

「プライベートのご事情で帰宅したがらないクライアントがいて、少なくとも週に2回は深夜までつきあってさしあげなければいけない」

こういった現実を1つひとつ見直していかなければ、時短は実現できません。

社内だけで完結する業務ならば、効率化すれば時短できる。しかし、「調整」が本質である広告会社である以上、社内で完結する業務などほとんどないわけです。

現場にトップの「覚悟」を見せる

経営者は、時短を進めることで生じるトラブルを、すべて引き受ける必要があります。現場任せにせず、自ら交渉の矢面に立たなければならない、ということです。

それは、社員のみなさんにトップの覚悟を見ていただくためでもあります。

経営者のあなたにとって、「そこまではやらない」という理由を挙げるのはカンタンでしょう。しかし、これまでのようにまた逃げるのであれば、コンサルタントからシステムを買い、教わった「改善策」をいくら講じたところで、ムダになることは目に見えています。

時短に限らず、どのような改革を行うにせよ、現場からはネガティブな反応が返ってきます。

「ハンコをなくそう」という改革を行おうとすれば、

「ハンコをやめたいと申し上げたら、お得意先のAさんが怒ったのですが、どうするんですか?」

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください