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「打ち合わせに遅刻」あまりに残念な謝罪の一言 相手の立場に立ち、何を求めているかを考える

東洋経済オンライン / 2024年3月21日 6時50分

① 正当化
② 逆切れ
③ 弁解
④ 矮小化

こうした観点で見ると、同社の社長が行った対応や会見には、これらの要素のうち3点が含まれています。

たとえば④の矮小化は、問題や状況を小さく見せようとすることですが、最初に「日本に出荷された証拠がない」と、問題を小さくしようとしました。

②の逆切れは、自らは被害者であるとして他者を非難することです。会見で「私たちは被害者だ」と述べています。

①の正当化は、「わざとではない」「知らなかった」などのように自身の行動や発言には、そうするだけの理由があったとすることです。この会見では、社長が会見しないことを「出張中のため」と正当化しようとしました。

他にも多くの「失敗した謝罪会見」がありますが、それらには、この4つの要素のいずれかが含まれています。逆にいえば、これらの要素を含まないように配慮して謝れば、謝罪が逆効果になることはありません。

ただし、これら4つの要素を含まなければ、そのまま問題なく謝罪が受け入れられる、というわけではありません。自身の行いを詫びるだけでは、誠意が伝わる謝罪になりません。そもそも、多くの人は謝罪の言葉を求めているわけではないのです。

アメリカで行われた心理学の実験で、6歳くらいの子どもが、4種類の謝罪の仕方に対してどのように感じるかが調べられました。

実験では、子どもは実験協力者の大人と並んで座り、赤色と青色のカップを交互に積んでタワーを完成させるという課題に取り組みました。タワーの完成が間近になったところで、隣の大人が「うっかり」タワーを倒しました。

このときに、子どもたちはタワーを倒した大人から、次の4種類のいずれかの対応を受けました。

①すぐに「ごめん」と謝る
②実験協力者が促してようやく「ごめん」と謝る
③子どもがやり直すのを手伝う
④何も言わない

これらの対応に対する満足度と許容度を子どもに点数で答えさせたところ③補償の申し出、①自発的な謝罪、②促されての謝罪、④謝罪なしの順で高く評価しましたが、許容可能だったのは③補償の申し出だけで、ほかの3つはどれも低い点数でした。

つまり、「謝ってほしいのではない」のです。「元に戻してほしい」のです。

筆者が行った脳波や心拍を測定した実験では、実験参加者に書いてもらった作文を、別の実験協力者が酷評するコメントを書いて怒らせました。半数の人は怒らせたままで、残りの半数には「こんなことを書いてすみません」と簡単な謝罪をつけました。

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