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スペイン往復6万円台、円安でも格安航空券はある 「とにかく出かけないと何も始まらない」

東洋経済オンライン / 2024年3月22日 11時10分

中国東方航空のハブとなっている上海浦東国際空港のチェックインカウンター。中国へはビザがないと観光ができない状態が続いているが、トランジットであれば気軽に入国できる(写真:筆者撮影)

最近のネットニュースでは「インバウンド向けでホテル代が高騰している」、あるいは「海外に行ったら食事がものすごく高かった」といった記事が目立つ。

【写真で見る】現在は「フィリピン行き」の航空券が確実に安い。しかも最高級ホテルのザ・ペニンシュラ・マニラが1泊1室2万円台からあり、お得感が増している

記事の内容は現状を伝えているのだろうが、本当に日本は“貧しく”なり、もはや多くの人にとって海外旅行は無縁のものになってしまったのだろうか。

たしかにコロナ禍以降、日本から海外への航空券代は割高な状態が続いてきた。

だが、これはコロナによって国際線の航空便が減少したことに起因する部分が多く、路線が復活するとともに航空券代も下がるようになっている。

円安が続いているため「コロナ前と同じ」というわけにはいかないものの、探せば掘り出し物の格安航空券もしだいに見つけられるようになってきた。

そこで、2024年4~5月に出発する日本発の国際線航空券を中心に、“月イチ海外旅行”を実践する筆者からみて、特に「安い」と断言できるものにしぼって紹介していきたい。

なお、金額は2024年3月中旬時点で航空運賃検索サイト「スカイスキャナー」「グーグルフライト」で提示されたもので、いずれも燃油サーチャージや空港使用料など諸経費もすべて含んだ総額である。

スペインへ「6万円台」その中身は?

筆頭にあげたいのが、中国東方航空のマドリード行きだ。関西発なら6万円台前半、中部・福岡発なら6万円半ば、羽田・成田発で6万円台後半から7万円強が最安値となる(2024年5月出発)。

コロナ以前、ヨーロッパ行きが最も安いのは中国系のエアラインであった。コロナ禍により、一時は中国を経由する便の利用が難しかったが、現在はトランジットにかぎり、中国国内にもビザなしで入国できるようになっている。

また、ロシアのウクライナ侵攻にともない、日本からヨーロッパへは北まわりもしくは南まわりで大きい迂回することを余儀なくされるようになっている。そのため現在、中国経由はフライトの距離が相対的に短いというメリットもある。

とはいえ、安いのにはそれなりに理由もある。最大のネックはトータルの所要時間が長いことだ。

たとえば「成田発マドリード往復」の場合、行きは「成田→西安(12時間15分乗り継ぎ)→上海(2時間45分乗り継ぎ)→マドリード、帰りはマドリード→上海(15時間35分乗り継ぎ)→羽田」となり、往復で合計66時間以上の時間を要する。

特に行きはいったん中国内陸部の西安に飛んだ後に上海に戻ってくるので時間のロスが大きい(下図)。いずれにせよ、ある程度時間に余裕がない人以外は使いづらいだろう。

だが、見方を変えれば、行きに西安、帰りに上海にそれぞれ寄ることで、これらの都市を垣間見られる(24時間以内であれば、ビザ免除で入国できる)。

そのうえ行きの西安、帰りの上海はともに夜から午前中にかけての滞在となり、ホテルのベッドで安眠できるというメリットもある。

なお、同時期のマドリード行きは、中国東方航空の次に安い航空券はアブダビ経由のエディハド航空(13万円台から)か香港経由のキャセイパシフィック航空(14万円台から)となる。

中国東方航空なら両社の「ほぼ半額」で行けるのだから、マイナス面を補って余りある。

さらに中国東方航空はフルサービスキャリアだから、機内食が提供されるうえ、マイルもJALマイレージバンクに30%加算され、トータルで4900マイルほど獲得できる。

フィリピンへは往復2万円台から

中国東方航空のマドリード行きが安いのはわかったが、休みも多くはとれないし、ヨーロッパでは現地での滞在費用がかさむと考える人も少なくないだろう。

「安近短」といえば、韓国と台湾がその代表だが、現在は台湾より「フィリピン行き」の航空券が確実に安い。

成田からフィリピンの首都マニラへは、ZIPAIR Tokyo、ジェットスター、エアアジア・フィリピン、セブパシフィック航空と4社のLCCが入り乱れて就航して、激しい価格競争を行っている。

成田からマニラまで往復総額は2万円台後半から。セブパシフィック航空が不定期で行っている100円セール実施時に入手できれば、往復総額1万円台、つまり片道9000円台という国内旅行感覚での海外旅行が実現可能となる。

マニラといえば、治安が不安視されてきた面もあったが、タクシーがらみのトラブルも配車アプリを使うことで解消され、空港でも賄賂を要求されるようなケースは近年耳にしなくなっている。それでいて、物価の安さは相変わらずだ。

最高級ホテルのザ・ペニンシュラ・マニラが1泊1室2万円台から。ビジネスホテルでも2万円台という価格が珍しくなくなった日本と比べるとその割安さは明らかだ。

高級レストランでも、マニラを代表するイノベーティブレストランの一つ、「Toyo Eatery」のコースが3190ペソ(税込み)、日本円で約8550円。カジュアルな食事は推して知るべしである。

2泊3日の週末旅行なら、航空券とホテル、食事全費用込みで3万円台も十分実現可能な予算といえる。

海外旅行はやはりビーチリゾートで、という人にはセブ島がおすすめだ。

やはりセブパシフィック航空の直行便が就航しており、片道5時間程度。セールを実施していれば成田から往復2万円台後半、通常でも3万円台半ばで往復することが可能だ。

セブパシフィック航空は成田発8:55でセブ島に13:05着。入国がスムーズで空港近くのホテルに滞在するなら初日の14時台にはビーチでくつろぐことも可能である。

セール運賃がお得に

海外にはLCCではなく、フルサービスキャリアで行きたいという人におすすめなのが、シンガポール航空のセール運賃だ。

2024年3月21~27日までの7日間、同社の名古屋就航35周年を記念して、「LOVE SQ TABI♡記念割」が発売となる。同社のホームページで購入が可能だ。

設定期間は2024年10月1日~2025年3月17日とかなり先。

料金は「クアラルンプール・ペナン・デンパサール(バリ島)・バンコク・プーケット行き」が往復総額でエコノミークラス(中部発)4万3380円~・同(羽田/成田/関西/福岡発)4万6790円~。

エコノミークラスならLCCと同程度もしくはそれを下回る低価格となっている。

一方、同じ行き先のビジネスクラス(中部発)は13万8280円~、同(羽田/成田/関西/福岡発)は15万6290円~。

ビジネスクラスの「予約クラス」はDクラスで、アラスカ航空マイレージプランなら200%加算され、東京からデンパサール往復で1万7000マイル以上獲得できる。予約クラスはアルファベット1文字で表され、このクラスによってマイルの積算率が決まるものだ。

アラスカ航空マイレージプランは、1万5000マイルで「成田ー台北」間のスターラックス航空・ビジネスクラス片道特典航空券が入手できる。

世界最高レベルといわれるビジネスクラスに4区間乗り、シンガポールのチャンギ国際空港では同社のビジネスクラスラウンジ「シルバークリスラウンジ」を堪能したうえ、「おまけ」で台北までの片道ビジネスクラス特典航空券ももらえるのであれば、この価格は完全に「買い」といえる。

なお、ANAマイレージクラブなら125%、ユナイテッド航空マイレージプラスなら100%加算される。

5時間5万円台で行ける穴場の国とは?

そのほか、直行便が片道5時間程度で往復総額5万円台と、「安」・「短」の条件を満たす穴場がMIATモンゴル航空の成田発ウランバートル往復(2024年5月中旬出発)だ。

2023年にはTBS日曜劇場「VIVANT」の舞台として話題になったモンゴルだが、2019年の日本人の年間渡航者数は約2万4000人にとどまっている。

日本から中国へはビザを取得しない限り単純往復の航空券を利用しての観光ができず、ウラジオストクなど極東ロシアへの直行便がなくなっているなか、モンゴルは東アジア・極東で気軽に旅行できる貴重な行き先といえる。

「こだわり」を捨てて海外へ安く行く

欧米を中心に航空券が高止まりしているのは事実だが、国際線の航空券も探せば掘り出し物は見つけられる。

安い航空券を見つけるポイントは「こだわり」を捨てることだ。最初に行き先を決め、期間も決まっているとどうしても高くつく。

しかし、スカイスキャナーでも目的地を「すべての場所」にして、「日程を変更可能に」を選んだり、グーグルフライトで目的地を「指定なし」として、日付も「変更可能な日付」にしたりすることで、意外なほど安い行き先を見つけることができる。

購入するタイミングも、早めのタイミングで購入したり、航空会社のセールの時期にあわせたりすることで、費用をかなりおさえられる。

航空会社も人気のある航空会社や所要時間が短い航空会社などにこだわらず、LCCを含めた全航空会社に選択の幅を増やしたい。浮いた航空券代は現地での滞在を充実させることに費やしてもいいし、次回の海外旅行の資金にしてもよい。

自分が最初から行きたいと思っていた以外の国でも、実際に足を運んでみれば、意外な発見があるはずだ。現地で贅沢をせずとも、海外の土地に降り立ったら、どのような旅であっても、日本では決して得ることのない数々の刺激的なものとの出会いが待っている。

とにかく出かけないと何も始まらないのである。

橋賀 秀紀:トラベルジャーナリスト

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