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いい意味での「朝令暮改型リーダー」は何が違う? 「一貫性がない」と「柔軟性がある」に分かれる訳

東洋経済オンライン / 2024年3月23日 6時50分

Why型のアプローチは表面的なものではなくてあくまでも深層的なニーズに対して忠実に動くということです。

What型とWhy型のアプローチの違い

ここまで見てきておわかりのように、What型のアプローチは現状商品の改良によって旧製品の延長線上で新しい製品を作っていくという「インクリメンタル(漸進的)な」イノベーションスタイルですが、Why型のアプローチというのは、全く新しい革新的かつ抜本的なイノベーションを求めるスタイルということになります。

これらの違いを、先ほどの「お客様の声」と紐づけて考えてみましょう。

What型で言うところの「お客様の声を聞け」というのは、文字通り顧客が声に出して言っていることを「そのまま」反映した商品を作るということです。ところがこのお客様の声というのが曲者です。

通常、ユーザーというものはその商品の専門家ではありませんから、その商品が持っている特別な技術とか、背景にある商品コンセプトを意識して意見を言うわけではなく、表面的な使い勝手などを基にした改善の類の要望(クレームであることも多い)を言ってきます。

たとえば機械ものであれば「このつまみをもっと回しやすくして欲しい」とか、ITシステムであれば「この画面の配置を変更して欲しい」といった類のものです。

もう一つの「What型の要望」のパターンは、競合がやっていて自社のものにない機能が不足しているという要望です。

これもあくまでも表面的なものが多く、根本的な解決になっていない場合がほとんどであるのと、所詮その機能を追加したところでやっと「敵に追いつく」(しかも周回遅れで)というだけのことですから、あまり本質的なものでないことは明らかでしょう。

ではこれに対してWhy型思考はどう考えるのか?

「流行は乗っかるもの」か「流行は作り出すもの」

あくまでも重要なのはお客様の「ココロの声」です。それは往々にして先述の顕在ニーズとは正反対のものであったりします。よくカリスマ企画者や開発者が言う「お客の声を聞くな」という表現がまさにこれです。これは「口に出して言っていることは信じるな」ということであり、「口に出していない本当のニーズを見よ」という意味であって、顧客を無視しろという意味とは正反対です。

単に技術主導で顧客を無視した商品と、Why型思考であえて「顧客の声を聞かない」商品との違いがおわかりいただけたでしょうか。

どこの会社でもよくあることですが、現場に出ている営業マンというのはこうしたお客様の生の声をよくも悪くもそのまま真に受けて「こういう商品があれば絶対売れるってわかっているのに何でうちの会社はそういうものを作らないんだろう」という言い方をしますが、これには2つの落とし穴があります。

1つ目は先述のようにこれはあくまでも表面的なWhat型の要望であること、そして2つ目は、What型の要望であるがゆえの宿命として「その要望が陳腐化する」ということです。その声にしたがって商品を開発していたら、できあがる頃にはすっかりその要望はほこりを被ってしまい、その時点での顧客ニーズとはかけ離れたものになっていることでしょう。

「今売れているもの」から発想するのがWhat型の企画、「今ないが売れそうなものはないか」と発想するのがWhy型の企画です。「流行は乗っかるもの」と考えるのがWhat型、「流行は作り出すもの」がWhy型と言ってもよいでしょう。

細谷 功:ビジネスコンサルタント、著述家

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