「伝説の農家」の極上野菜、3つ星シェフ食べた感想 79歳「浅野悦男」の野菜は、一体"何が違う"のか
東洋経済オンライン / 2024年3月23日 14時0分
口に入れた瞬間、直径3mmにも満たない花弁1枚1枚から放たれる野性味あふれる香りと辛みが、鼻腔をすうっと抜けていく。ルッコラの野生種、セルバチコだ。農家の多くが葉っぱだけを出荷するなか、浅野はこの花も商品として出している。
「花を食材として最初に提案したときは、『え、食べるの?!』と驚いたシェフが多かったね」
近年は、多くの店が料理の彩りに花を使うようになったが、浅野は15年ほど前から、ハーブや野菜の花も含めて食用になる花を吟味し、商品化を進めてきた。
夏の盛りには、トウガラシ類やナスの畑に、たわわに実がなる。浅野はまるでオーダーメイドのように、店ごとに希望するサイズの実を収穫していく。人差し指くらいのサイズで採るナスもある。
幼果をかじってみると、これは本当にナスなのかと疑うほどの甘みと、果物を食べたときのようなみずみずしい食感が口中を満たした。
「サイズが小さいと未熟なのではないか」という先入観は、見事に払拭される。無理なく育てられた野菜は、どの生長過程で、どの部位を収穫しようとも、本来持っている味を発揮する。
浅野の農場には、「これが普通」とか、「当たり前」というものはいっさいないのだ。
ナスは、猛暑日が続くなどして水分が不足すると、いわゆる「ボケナス」になるが、地温が高いときに大量に水をやると病害虫のもとになる。
だから、浅野はときに日没後、夜遅くまでかけて土に少しずつ水を吸わせるようにして灌水する。
植物の特性や自然の摂理に合わせた独自の管理は、農場の随所にみられる。それが、芯は強いけれど繊細で、滋味深い野菜を生み出す素になっていることは間違いない。
「土づくり? できるわけないじゃん」
「ミシュランガイド東京」において3年連続で3つ星を獲得しているフレンチレストラン「レフェルヴェソンス」のエグゼクティブシェフ・生江史伸氏は、2010年の開店以来ずっと使っている浅野の野菜をこう表現する。
「すごく色つやがいいし、形もしっかりしているし、持った感じもガシッとしている。ごつごつした感じのおじさんだから、味もガーンとインパクトが強くて、吹っ飛ぶような威力がある野菜をイメージする人もいるかもしれないですけど、食べるとね、いつも優しいんですよ。浅野さんの性格を含めて、ぼくは浅野さんの野菜に惹かれるんです。人の勝手なエゴが入っていなくて、優しい父親に育てられた可愛い娘たち、というようなイメージがありますね」
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