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「もしトラ」シナリオがはらむ安全保障の死角 知日・知米派韓国人からみえる日米韓協力関係の隙間

東洋経済オンライン / 2024年3月23日 8時0分

アメリカでは政治・社会の両極化が広がっています。この1、2年以内に、3人のうち誰かの顔ぶれが変わってもおかしくはない状態です。

韓国の尹大統領は、2024年3月1日に行った演説の中で、日本を「パートナー」と呼びました。そして日韓国交正常化から60年、第2次世界大戦終結から80年となる2025年という節目の年に、「一段階飛躍させた」新たな日韓共同宣言を発したいと呼びかけました。

これに先立ち、尹氏の外交ブレーンである韓国国立外交院の朴喆煕院長は、日本メディアに対し、1998年に当時の小渕恵三首相と金大中大統領との間で発表された「日韓パートナーシップ宣言をステップアップさせた新しいビジョン」を目指すと発言しました。

これに対し、「朴氏の言葉からは韓国側の焦りがにじむ。尹政権を孤立させず、日本側からも十分な支援をしてほしいと訴えているのだ」とこの日本メディアは解説していました。

日本側からはこう見えるのでしょう。政治資金問題や統一教会問題などに国の関心が向く中、なかなか韓国や日韓関係には注目が集まらない。しかし、尹氏が対日関係を改善するために政治的リスクを負ったのも事実です。

初めて尹氏が訪日した際、韓国に長期滞在していた私は土曜日の夕方、政治デモで盛んなソウル広場に足を運びました。野党党首を含むデモ隊がメガフォンで尹氏を「売国奴」や「親日派」呼ばわりするかと思えば、トラックに積んだ尹氏の巨大人形の頭を斧で割ろうとする派手なパフォーマンスまで登場しました。

いずれにせよ、前述した「もしトラ」リスク、そして日米韓の3カ国に潜むリスクを考えると、早急に対策を講じる必要があります。とくにトランプ氏は最近、NATO(北大西洋条約機構)に対して否定的な考えを示すことが増えました。

日韓によるアメリカ議会工作が必要だ

これに対し、NATO各国はアメリカ議会対策をしきりにやっているようです。これと同様に、「もしトラ」が現実化することを危機管理上想定し、東アジアの平和維持のためには、在日米軍と在韓米軍は不可分という認識を日韓で共有し、アメリカの大統領に誰が就こうと、日韓が一枚岩でアメリカ政府や議会などステークホルダーを説得すべきでしょう。

それこそ、安倍氏がトランプ氏にした「在韓米軍の撤退は困る」「北朝鮮の非核化は必要だ」といった助言を、日韓がともに言い続けなければなりません。

アメリカへの議会工作、いわゆるロビー活動ですが、日本はこの点で韓国より力不足です。アメリカでは韓国系の数が日系の数をはるかに上回っています。安倍氏も「そもそも日本の外交ロビーは弱いのです……韓国のロビーは盛んなんですよ。残念ながら、こうした外交戦では韓国が一枚上でした」と回顧録にあります。

アメリカに対しては、日米が補完的に組めば相乗効果が得られるのではないでしょうか。とくに2025年に尹氏が新たな日韓パートナーシップを宣言するのであれば、こういった戦略立案が急務となるでしょう。

日韓がスクラムを組み、自由、民主、そして法治主義を守るために協力することが、何よりも必要です。

【日本の読者に配慮し、「韓日」ではなく「日韓」と表記しました】

T.W.カン:グローバル・シナージー・アソシエーツ代表

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