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健康食品「こんなに効く」が信用できない納得事情 グルコサミンやヒアルロン酸に効果はあるのか?

東洋経済オンライン / 2024年3月27日 14時0分

一時代前の健康食品は、食生活の変化からビタミンなどの摂取不足の栄養成分を補充する目的のものがほとんどでした。ところが、近年の食生活は飽食の時代とよばれるように、栄養面での不足よりも栄養の過剰摂取が問題となったことから、メタボリックシンドロームなどの過食が原因の疾患を標的にした健康食品が主流になってきました。

さらにその傾向は変化していき、より需要の多い疾患に対する健康食品を開発する傾向に加速していきます。その結果標的となった疾患が変形性関節症です。

変形性関節症とは、関節の構成成分である軟骨がすり減ってしまい、関節の形態が著しく変形してしまう病気です。軟骨がすり減る以外にも関節内で多くの変化が生じるため、関節の痛みや腫れなどが現れます。自身の体重の負担が多い荷重関節によくみられる関節症です。特に、股・膝・足関節でみられることが多いですが、非荷重関節でも頻繁に動かすことの多い、肘関節では頻度は少ないものの生じることがあります。

この疾患の治療や発症リスクの軽減には、適度な運動を行い、体重を減らし、筋力を保つことが重要です。しかし、発症は高齢者が多く、現実にはそのような生活習慣の改善はうまくいかないケースがほとんどです。そこでさまざまな健康食品がこの変形性関節症を標的に開発されました。例えば、グルコサミン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、プロテオグリカン、コラーゲンなどがあります。

本当に効果があるなら医師が飛びついている

それでは、これら健康食品は本当に変形性膝関節症に効果があるのでしょうか? はっきりいって、私はこれらの成分には効果がないと思っています。

どの成分に対してもいえることですが、まず、第一に整形外科医が、これら成分の効果を認めていないことです。医師によっては、薬でなくても効果があれば食品成分での効用を推奨する方もおられます。

この疾患は、次の図表に示すような対症療法的に用いられることがあります。しかし、残念ながらこれらの薬剤はあくまで疼痛緩和などの対症療法であって、治療や予防ができるものではありません。

この疾患の予防は前述したように、生活環境の改善しかなく、治療には人工関節などの外科的治療法しか認知されていません。医師としても、もし効果的な食品成分による治療法、予防法があるとしたら飛びつかないはずはありません。実際のところ、欧米はじめ国内でもこれら食品成分の有効性を検証する臨床試験が実施されましたが、いずれも効果は認められませんでした。

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