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健康食品「こんなに効く」が信用できない納得事情 グルコサミンやヒアルロン酸に効果はあるのか?

東洋経済オンライン / 2024年3月27日 14時0分

例外的に、これら成分を開発した企業が関与して実施された臨床試験で、軽度疾患を抑制する結果が得られていますが、それらの試験はいわゆるシングルクローズドテストです。シングルクローズドテストとは、ダブルブラインドテストの対比を示す臨床試験のことです。ダブルブラインドテストは、試験を受ける被験者も試験を実施する医師も被験者に投与されたサンプルが、目的とする成分を含む被試験物なのか、プラセボとよばれる偽薬なのか開示せずに試験が行われる種類の臨床試験のことです。

一方、シングルクローズドテストでは、目的とする成分を含む被試験物のみを試験する、対照物のない試験です。どんな人でも、「これは効果があります」といわれてからその物質を食べて試験に臨めば、何となく効果が現れるものです。この効果をプラセボ効果といいます。

私が知る限り、変形性関節症に対して実施された臨床試験で、有効性を示したダブルブラインド試験はありません。もし、私の勉強不足でそのようなものがあったとしても、その試験の信頼性が高いとは思えません。なぜなら、まともに実施された信頼ある臨床試験とは異なる結果だからです。

グルコサミンなどに効果はある?

ここからは、それぞれの化合物がなぜ効果がないかとする根拠について、関連する特性についてご説明しましょう。

まず、グルコサミンです。グルコサミンはよくテレビコマーシャルなどで宣伝しているのでご存じの人も多いと思います。変形性膝関節症に対する効果があるとして販売されています。しかし、グルコサミンは名前の通り、グルコースにアミン(アミノ基)が付いた構造です。

グルコサミンは消化管に入ると、消化酵素によりグルコースからアミノ基が外され、グルコースになります。グルコースはご存じの通り、砂糖やでんぷんなどが分解されて生成される単糖です。つまりグルコサミンを経口で摂取した場合、グルコースを摂取することと何ら変わりはないわけです。

このグルコサミンについて、臨床医師が50~60歳の6691人の女性を対象として行った無作為化比較試験の結果では、治療目的でのグルコサミンの内服は、摂取と発症に関し有意な影響は見られず、発症予防の効果は証明されませんでした。ただし、軽症者では有効とする報告もあるのですが、この試験は前述したシングルクローズドテストであって、その信用度は低いものです。

次にヒアルロン酸はどうでしょうか? ヒアルロン酸も変形性膝関節症に対する効果があるとして販売されています。高分子ヒアルロン酸を膝関節嚢内に直接注入すると効果があることが確認されています。

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