大河出演・矢部太郎「人生をつくるプレゼント」 乙丸役が好評、芸人・漫画家などマルチに活躍
東洋経済オンライン / 2024年3月27日 16時0分
NHKの大河ドラマ『光る君へ』では吉高由里子さん演じる「まひろ」(後に『源氏物語』を書き、紫式部と呼ばれる)に仕える従者「乙丸」を演じる矢部太郎さん。
芸人として、また120万部を超えたコミック『大家さんと僕』シリーズの作者としてもマルチに活躍している。
矢部さんの漫画家としての最新作が『プレゼントでできている』。コミックエッセイのスタイルで、矢部さん自身が実際に体験した「プレゼント」にまつわるエピソードを描いた連作だ。
一見軽やかな題材のようだが、読後感は深い。ほのぼのとしたタッチに癒やされながら読み進めていくうちに「プレゼントを贈る」という行為に、モノの価値観や人間関係の本質を問い直すカギが隠されていることに、気づかされるのだ。
断捨離しようとしても「できない」もの
「プレゼントをテーマにしようと思ったきっかけは、引っ越しです。前の住まいの荷物を整理する際に、捨てられるものと捨てられないものがあって、捨てられないものには人からもらったものが多いことに気づきました。
【写真で見る】大河ドラマ『光る君へ』では「乙丸」を演じている
使わなくても、プレゼントは捨てられない。贈り物には捨てられない理由があるんですよね。ありがたみもあれば、負い目のようなものもあります。そんなことを不思議に感じて『プレゼントの持つ意味』を、漫画で描いてみたいと思いました」(矢部さん 以下の発言部分すべて)
2011年の東日本大震災をきっかけに、ミニマルライフや、それを実現するための断捨離が脚光を浴びた。近年は定期的に断捨離をし、必要十分なものだけで暮らすことを良しとする価値観も、スタンダードになっている。
「不必要なものを捨てるとスッキリしますよ、という断捨離の理論は、果たして本当なのかな? という懐疑も持っていました。だから特に『捨てられないプレゼント』に、焦点を当ててみたかったのかもしれません」
一般的に、プレゼントを贈るのは難しい。相手を想って選んでも、気持ちが伝わらないこともあるし、不必要なら邪魔になってしまう。だからこそ安全策として、食べ物や消耗品などの消えモノを贈りがちにもなるのだろう。
しかし矢部さんは扱いに困るような「捨てられないプレゼント」にも、価値があるという。
20年前にもらった炊飯器が捨てられない
家のほとんどが、さまざまな人からのプレゼントで構成されているという矢部さん。その持ちもののなかでも、特に思い入れがあるのが、20年前にもらった炊飯器だそう。
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