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都内にある「巨大無人駅」東武大師前駅の裏側 乗車2分、全長1kmの路線の終点は「改札機なし」

東洋経済オンライン / 2024年3月28日 6時30分

現在の西新井駅は3面6線。大師線はいちばん西側の1・2番線に発着する。下り線(東武動物公園方面)のホーム上では「西新井ラーメン」が営業しており、列車が到着してドアが開くと、匂いに誘われてついつい立ち寄ってしまう人も少なくないようだ。

西新井駅がユニークなのは同駅の出口改札とは別に「大師線のりかえ改札口」がある点。西新井駅の大師線乗り換え改札は1カ所で、大師線ホーム側に券売機がある。わかりやすく言えば、大師前の自動改札機と券売機が西新井に置かれている。

改札口には「大師前駅には改札はございません。きっぷはここで回収となります」との案内が書かれている。大師線には途中駅がなく、東武線の他駅から乗り換えても降りられる駅は大師前の1駅のみ。大師前に向かう場合は西新井で運賃支払い処理をし、大師前から乗った場合は西新井で切符を購入(入場処理)することになる。

一方の大師前駅には使われていない「ラッチ」が並んでいるのみで、ヨーロッパの駅のように出入りは自由。同駅からの乗客に向けては「大師前駅ではきっぷの発売は行っておりません。そのままお通りください。きっぷは西新井駅でお買い求めください」などといった案内がいたるところに掲示されている。

巨大な無人駅の裏側

3階にホームがある構造の大師前駅は無人駅にしては巨大だ。1面1線のホームはアーチ状の天井が覆う広い空間となっている。駅事務室の出札窓口はシャッターが閉ざされ、内部が倉庫などとして使われている一方、駅ビルには東武バスセントラルの営業所や耳鼻科クリニックなどが入る。駅前のバス停からは北千住と結ぶバスが日中でも10分に1本以上の頻度で発着する。

これだけ乗降が多い駅に駅員がいなくて安全面は大丈夫なのだろうか。大師前駅を管理する東武北千住駅管区副管区長の山口忠利西新井駅長は「警備会社の事務所があり、警備員が巡回している」と説明する。一方、西新井駅では「大師前から乗って来るときに改札がなかったんですけど……」と聞かれることがよくあるそうだ。

山口駅長は本社に勤務していたころ、年初には大師線の初詣客輸送の応援に駆けつけた。「隙間がないくらいの人で混雑するが、着物姿で破魔矢などを携えたお客さまを見ると正月らしい気分になる」と語る。普段の大師線は通勤通学をはじめ日常利用が多く「周辺の都市化が進んだいまでも1駅乗るだけで下町風情が感じられる」という。

西新井駅西口の再開発

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