「これでいいのか」現場の警告を逃さない「声かけ」 情報を引き出す適切な言葉遣いを用意しておく
東洋経済オンライン / 2024年3月29日 9時30分
リーダーとして、また上司として、部下から出される「予期せぬ兆候」があるというサインを感じたことがあるだろうか。
そんなとき、部下から適切な情報を引き出し、正しい判断をするには、どのような声かけが必要になるだろうか。デビッド・マルケ氏の著書『最後は言い方』より、そのヒントを紹介しよう。
チームでの活動中に、予期せぬことが目に入った人には、中断を呼びかける責任が生じる。だが、実際にその声をあげるのは難しい。
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中断の声をあげるのはなぜ難しいのか
中断の声をあげにくい理由はいくつかあるが、そのうちの一つに、作業に没頭してしまうと、他のことが目に入らなくなるということがある。
生産モードにどっぷり入り込み、時間を忘れて何かに夢中になったという経験は、誰にでもあるだろう。
そうした精神状態のことを、心理学者のミハイ・チクセントミハイは「フロー」と名づけた。仕事に完全に没頭している感覚を指すと思えばいい。そうなったらどんなに素晴らしいことか!
ただしそれは、その仕事がそのときにやるべき仕事であればの話である。没頭する対象が間違っていれば、そうと気づかせる合図が必要だ。
人は作業にのめり込むと、フォーカスの対象が絞り込まれて視野が狭くなる。この集中力がタスクの達成を助けてくれるのは事実だが、自己管理の機能が制限される。
時間の感覚を失うのもその一例で、食事を忘れることだってある。手をとめて別の選択肢を検討したほうが賢明なときであっても、頑なに続けようとする。
そんなとき、中断を呼びかける人が別にいると知っていれば、安心してより深く赤ワークに入り込むことが可能になる。
目の前の作業に完全に没頭でき、より効果の高い成果、創造性に富む成果、生産性の高い成果がもたらされるだろう。それに、仕事の充実度も高まる。
現場からの中断の兆候の例とは
事前に取り決めた、明快な中断の言葉が使われていないとしても、実は中断を求められているという状況がある。
いくつか例をあげよう。
建設現場で基礎工事を担当する労働者が、「本当にコンクリートを打ち始めていいんですか?」と尋ねてきた。現場監督はどのように中断を呼びかければいいか?
ソフトウェア開発チームのプログラマーのひとりが、「この機能をつけるとテストの工程が相当複雑になります」と言ってきた。チームのリーダーはどのように中断を呼びかければいいか?
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